施政方針

平成29年度施政方針

平成29年度の予算案並びに諸議案のご審議をお願いするにあたり、町政運営に臨む私の所信の一端と諸施策の概要を申し上げ、議会をはじめ、町民の皆様方のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

現状

国の情勢

さて、国ではアベノミクス取組みの下、第2ステージとして「希望を生み出す強い経済」、「夢をつむぐ子育て支援」、「安心につながる社会保障」という新・三本の矢を打ち出し、経済再生・デフレ脱却に向けて前進していますが、我が国の財政状況は、平成28年度末の国及び地方長期債務残高が1,070兆円となる見込みで、引き続き厳しい状況となっています。

こうした中、国においては「経済財政運営と改革の基本方針2016」において、一億総活躍社会の実現に向けて、選択と集中の仕組みを強化し、経済と財政の一体改革を推し進めようとしています。

町の情勢

地方自治体を取り巻く環境は、急激に進展している高齢化が、社会保障費の増加をはじめ、消費の減少などに影響を及ぼしています。次々に更新時期を迎える道路・水道、その他公共施設など、インフラの保全・更新も大きな課題であり、この流れは今後も留まりません。町民の皆様が日々の暮らしの中で抱える悩みも、年々多様化し、複雑化しています。

こうした状況の中、私たちは町民生活に最も身近な自治体として、将来をしっかりと見据え、実効性ある施策を着実に進めながら、町民の皆様にしっかりと寄り添い、暮らしを支えていかなければなりません。

町は、合併後これまでの10年、旧町行政の継続性を尊重しながら、財政の健全化、町民の融和と協働まちづくりの推進を基本に、多くの課題に全力で取り組んできたところです。

平成28年は、旧二町の合併により「新有田町」がスタートしてから10年、そして、日本磁器誕生・有田焼創業400年という節目の年でありました。この記念イヤーの取組みは先人に感謝し、地域の貴重な財産を再認識するとともに、新たな時代に向けて第一歩を踏み出す機会になったと自負しており、町民の皆様をはじめ、議会、多くの皆様からのお力添えに対し、感謝申し上げる次第でございます。

本町の財政状況については、平成27年度決算をもとに分析しますと、歳入総額に占める自主財源の割合は32.2%と低く、国・県、地方交付税等の依存財源に頼っている状況です。また、歳出における人件費・扶助費・公債費で構成している義務的経費は、歳出総額に占める割合は39.2%を占め、依然として高い水準で推移しています。財政構造の弾力化を示す経常収支比率は87.3%(県内十町平均87.7%)で、健全ラインといわれる80%未満を上回っており、臨時的な財政需要に対して余裕のない、いわゆる硬直化した状況となっています。

自治体の収入に対する負債の割合で健全度を示す実質公債費比率は7.6%(県内十町平均9. 3%)と、いまだ高い水準に留まっているため、今後も町債の繰上償還の実施や新規借入を抑制する必要があります。また、平成28年度から地方交付税が算定方法の見直しにより徐々に縮減しており、平成33年度には平成27年度と比較し、約3億5千万円(5年間総額で約11億)の減が予想されます。

このような本町の財政状況を全職員が改めて認識し、共通の理解を持った上で、当面の事業計画を着実に推進するとともに、財政健全化に向け、行財政改革や真に必要とされる施策の重点化を含めた調整、事務事業の見直しについて、引き続き全庁一丸となって取り組んでまいります。

いま、国、地域の姿が大きく変わろうとしている時代の中、立ちはだかる政策課題にスピーディに対応していくため、平成29年度予算編成においては、町総合計画、まち・ひと・しごと創生総合戦略に基づき、合併特例債など財政支援を最大限に活用しながら、安全・安心な暮らし、地域の活性化を実現していくための予算を編成したところです。

重点施策

それでは、現在の総合計画に掲げている5つの基本目標に沿って、平成29年度における有田町の重点施策を申し述べさせていただきます。

第一に、「協働により、行財政の効率化を図るまち」づくりであります。

まちづくりの根幹であり、最上位の計画となる総合計画が平成29年度で終期を迎えます。現在、平成30年度からの次期計画となる第2次有田町総合計画の策定作業を進めております。人口減少社会、多様化・複雑化する行政需要に対し、的確に対応していくためには、町民、団体、事業所など幅広い分野の数多くの皆様の参画なしには実現は困難です。

そのような中、第2次総合計画の策定作業では「住民委員会2018」という市民討論会方式を導入しています。住民委員会には無作為抽出で選ばれた町民、約100名の皆さんに計画づくりの過程から携わっていただくことで課題を共有し、まちづくりへの関心を高めていただこうという、新たな政策形成の試みを進めているところです。策定委員会や審議会などでの検討を経て、平成29年6月議会において、第2次総合計画の基本構想をお示ししたうえで、年内に基本計画を策定することとしています。

現在、国を挙げて取り組んでいる地方創生「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が3年目に入ります。人口減少や少子高齢化時代の難局を乗り越えていくことは容易ではありませんが、「しごと」が「ひと」を呼び、「ひと」が「しごと」を呼び込む好循環を生み出し、活力のあるまちの実現に向けて、共に手を携えて取り組みましょう。

人を呼び込む取組として、国の地方創生推進交付金を活用し、今年度から取組を開始した「ありた半農半陶推進事業」では、お試し住宅を活用し、農業体験プログラムや就業体験プログラム等の研究・実践を進めながら、受入体制の整備・充実を図っていきます。

また、地域外の人材を積極的に受け入れ、地域力の維持・強化を図っていくことを目的とした「地域おこし協力隊」として、新たに2名を採用予定で、町の魅力の情報発信、農業の振興に従事してもらうこととしています。

ここ最近はふるさと納税に対する認識が高まり、有田町にも多くの寄附が寄せられています。今後も、未来を担う人づくり、地域福祉の向上などへ役立てるため、応援していただけるような魅力あるまちづくりを進めるとともに、特色ある謝礼品を充実させます。また、民間ポータルサイトなどと連携した情報発信の強化にも努めながら、町の広報紙やホームページなどを活用し、積極的な展開を図っていきます。

平成28年4月、佐賀大学に芸術地域デザイン学部が開設され、今年4月から、いよいよ2年生が「有田キャンパス」で学び始めます。町では、すでに農産品開発において学生と連携した取組みを始めていますが、今後も大学に集積する知識や情報、ノウハウを活かすと共に、町は学生の人材育成に貢献していくよう、連携・協力しながら進めていければと考えております。

第二に、「共に支えあう、健やかなまち」づくりであります。

町民の健康増進の一環として、疾病の早期発見、早期治療を目的に胃がんの発症と関わりがあるとされているピロリ菌の検査を新たに実施します。また、胃がん検診の有効性を更に高めるために50歳代の方を対象に、胃内視鏡による検査も開始します。

児童福祉の分野においては、子どもの医療費助成事業について、小中学生においても診療後に申請を必要としない「現物給付」を実施し、子どもたちを受診させやすい体制を作ります。また、町内私立保育所における大規模改修事業を1園、防犯カメラの設置など防犯対策事業を4園で計画しています。

障害者福祉については、新たに訪問入浴サービス等をメニュー化し、在宅での生活支援の充実を図ります。

介護保険分野については、医療・介護・生活支援等が一体となった「地域包括ケアシステム」の構築を進めるとともに、平成29年度より新たに実施する「介護予防・生活支援サービス事業」により、要支援者や一般の高齢者の方に多様なサービスの提供を図り、また、同時に元気な高齢者の方のボランティアの育成を通して、生きがいづくり、地域での助け合いの体制の構築に努めます。

第三に、「安全・安心な、安らぎに満ちたまち」づくりであります。

昭和46年の建築から45年が経過した伊万里・有田消防組合有田消防署については、経年劣化が著しく、敷地も狭あいで訓練や緊急車両の出入りに苦慮しています。このため、平成29年度から4年計画で改築を行い、町民が安心して生活できる機能を十分に要した、消防防災の拠点施設として整備を行います。

国道202号蔵宿地区の歩道設置工事については、事業が早期に完了するように国等に働きかけをお願いするとともに、下山谷地区の交通安全事業の歩道整備工事については、国へ事業の新規採択をお願いしてまいります。

県道伊万里有田線(セラミックロード)山谷牧工区については、県河川の西牧川に橋梁架設工事が竣工予定で、平成30年度3月末の完了を目指しています。二里工区(二ノ瀬地区から二里町金武駅まで)1600mについては、平成30年度に新規事業として採択されるように、道路の詳細設計の見直し作業を実施中です。このほか、県道大木有田線の外尾山JRガード下の冠水対策事業については、900m/m排水管及び高性能ポンプの設置により豪雨に対応できるよう、平成30年度の事業完了を目指しています。

町道の改築については、いずれも社会資本整備総合交付金を活用して整備を進めます。代々木地区の井手平8号線は今年度から道路改築工事を実施して平成30年度の完了を目指し、地域住民の利便性の向上を図ります。

新規の町道(仮)南原原宿線については、実施測量、用地測量等の測量委託費と用地購入費、補償費を予算化しており、現在整備中の県道伊万里有田線(セラミックロード)連結により、更なる利用促進に大きな効果を発揮するため、早急な整備を推進していきます。

老朽化に伴う道路舗装修繕としましては、社会資本整備総合交付金を活用して、町道小溝原穂波ノ尾線、町道大木桑木原線、町道戸矢33号線など路線延長計7,650mを整備予定で、歩行者・通行車両の安全を確保し、交通の円滑化を図ります。

橋梁関係では、長寿命化計画に基づき継続の3橋、大野地区の菅野橋など新規の3橋、計6橋の補修工事を行います。

二級河川有田川につきましては、近年勃発しているゲリラ豪雨等による水害に対応するため、河川の流下能力不足箇所の整備として、黒川地区の河川整備工事に着手し、平成31年度までに計画区間250mの整備完了を目指します。

住宅の耐震化を促進するため、町は県と協力し、平成28年度から3年間限定で、住まいの耐震診断を支援しています。平成29年度は、20戸の耐震診断の補助を確保しています。

また、地域における省エネの推進及び維持管理費の軽減を図るため、区が設置している既存防犯灯をLED防犯灯へ取り替える経費への助成を5年計画で開始します。

空家対策としては、町の空家対策に関する全体像、基本的な考え方を示す「空家等対策計画」を平成29年度に策定します。予算計上として、策定に必要な空家実態把握調査委託を盛り込んでおります。計画策定後は、空家の活用、解体除却などを推進させるため、国の事業であります空家対策総合支援事業を活用し、空家対策の推進を図ります。

上水道事業においては、公共下水道事業の管埋設に併せての水道管の更新と老朽管対策として漏水発生の多発管路から順次入替えを実施します。新規事業として「新水道ビジョン」策定に向けたアセットマネジメントを実施して国の交付金対象の基本計画を策定します。

公共下水道の区域拡大の認可を受け、基本設計を完了させたことで「札の辻交差点」より上の大樽・上幸平地区の下水管埋設工事に取り掛かります。浄化センターでは処理した汚泥の脱水装置の設置を行います。公共下水道も供用開始から15年を経過し、機器の老朽化対策として、更新事業を実施いたします。

農業集落排水地区では、引き続き更新事業を実施して老朽化対策を進めてまいります。

第四に、「伝統を生かした、活力ある産業を創る交流のまち」づくりであります。

本町の農業を取り巻く環境は、農業従事者の高齢化、後継者不足、農産物の価格低迷、農業用施設の老朽化、鳥獣の被害等により益々きびしい状況にあります。

そのような状況の中、持続性のある農業の実現に向け、まず、売れる農業特産物の開発を、産官学連携で構成された協議会により進めております。現在、その実現に向け提案された作物の試験栽培や加工品の試作、試食、販売方法等を協議いただいているところです。

農業用施設の老朽化対策として、古木場ダムの機能保全に取組みます。昭和56年の完成から35年を経過している古木場ダムは、県において施設の機能診断が終了しており、本町ではこの機能診断に基づき施設の機能を保全するために、新年度に「機能保全計画」を作成し、平成30年度から県営事業にて対策工事に着手する予定です。

また、大谷ため池の整備工事についても、漏水調査結果を受けて県営事業にて平成27年度より着工しており、平成29年度に本体工事を行い、平成30年度での完了を目指しています。

次に、農地保全の観点では、現在、中山間地域直接支払交付金や多面的機能向上対策交付金を活用し、協定ごとに取り組まれています。本町にある岳の棚田は、日本棚田百選の選定を受けている貴重な農村資源ですが、耕作放棄地が増え荒廃化しつつあります。この貴重な資源を活かし残していくため、補助事業も活用しながら、岳の棚田環境保全協議会や棚田オーナー、棚田ボランティアと一緒になって取組む地域おこし協力隊を配置し、岳の棚田保全を図っていきます。

観光振興については、昨年4月に「日本磁器のふるさと肥前」として、有田町を含む佐賀県・長崎県の8市町に点在する歴史的遺産が、文化庁が認定する「日本遺産」に認定されました。日本遺産の認定の要素にも挙げられているように、有田町には伝統的建造物群保存地区をはじめ、他の地域が望んでも得られない魅力的な財産が豊富にあります。肥前窯業圏活性化推進協議会を中心に、地域の構成文化財のストーリー普及啓発、広報、理解促進のための事業を行い、歴史と伝統に裏打ちされた陶磁器文化を中心に観光にも繋げていきたいと考えています。

また、有田焼創業400年を機に開催してきた「有田まちなかフェスティバル」を継続して開催していくとともに、観光の産業化を目指して実施している有田版DMO構築事業を推進し、有田焼ブランドはもちろんのこと、有田焼以外の高価値資産を観光資源として生かしながら、観光地として継続していくための地域経済を潤す仕組みを構築し、通年観光に繋げていきたいと考えています。

国は地域における創業の促進を図る目的で、市区町村が創業支援事業者と連携して策定する「創業支援事業計画」を認定し、開業率の向上を目指しています。有田町においても昨年8月に国の認定を受け、有田商工会議所と連携しながら「ありた創業スクール」を実施するなど創業支援事業を進めています。今後も商工会議所、町内金融機関などと連携を図りながら創業の取組の支援を行っていきます。

また、後継者不足問題や原料問題をはじめ、多くの課題を抱えている陶磁器産業については、県や産地組合等と連携を図りながら支援を行っていきたいと考えています。

第五に、「ゆとりある心が育つ結いのまち」づくりであります。

平成28年度から開始した有田小学校改築事業を進めてまいります。普通教室棟は、町有林から切り出した木材を使用した木造校舎となり、来年2月完成を目指しています。旧校舎となる部分の解体準備にも着手します。また、曲川小学校の体育館の修理と北校舎改装のほか、ふるさと木材利用拡大推進県補助金を利用して、大山小学校・曲川小学校並びに有田小学校では、県産木材を使用した机・椅子の導入を推進し、今年度200セット、来年度も200セット納入を予定しています。

子どもたちの可能性を最大限に伸ばす特別支援教育においては、臨時職員を4名増員し16名体制として充実を図ります。

保護者や地域住民の意見を学校運営に反映させ、協働しながら子どもたちの豊かな成長を支えるコミュニティスクール(学校運営協議会)の取組では、有田小学校をモデル校として設置し、事業を展開して、各学校への設置を推進していきます。

生涯学習の分野では、多くの町民の皆様に利用いただいております生涯学習講座において、年代ごとの講座や佐賀大学等と連携した講座を開設し、多様な町民のニーズに合わせた内容の充実を図ります。

生涯学習センター及び文化体育館利用者の利便性の向上のため、東の前緑地に駐車場を整備します。

スポーツ施設では、野球、ソフトボール、サッカー、グラウンドゴルフ、陸上などの総合的なスポーツが夜間でも利用できるよう、有田中央運動公園のナイター設備等の整備を行います。

有田異人館については、平成26年度より保存・修理事業を開始し、平成29年3月までに付属の蔵を含めてすべての工事を完了しました。これに伴い、4月より土日祝祭日や、観光客の多い陶器市や秋の陶磁器まつりの期間など、年間120日程度の開館を予定しています。館内では、有田内山のまちづくりの拠点的施設として、有田内山の歴史的な遺産・景観などの魅力を発信するほか、異人館の建てられた幕末・明治初期の有田の様相などを、映像機器やパネルなどを用いてご紹介してまいります。

有田氏により築かれた唐船城は、築城年代については諸説あるものの、建保6年説によれば、平成30年に築城800年の節目の年を迎えます。これは、有田の一体的な統治の起源であり、これを契機として今日の有田町の姿の原形が形成され、以後、現在に至る過程において、徐々に有田の有田らしさが育まれてきました。この唐船城築城800年の節目に当たり、どんな事業を行い、何を次の世代へと引き継いでいくべきかなど、町民の方々による検討委員会を設置し、基本となる方向性を導き出していく予定です。

結びに

平成29年度、有田町は合併11年、日本磁器誕生・有田焼創業401年を迎えますが、次なる50年、100年を切り拓く1年とすべく、職員一同気概を持って、町民目線で取り組んでまいりますので、町民の皆様並びに議員各位のご理解とご支援をお願い申し上げまして、平成29年度の施政方針といたします。