中樽一丁目遺跡の磁器

今回も中樽一丁目遺跡の出土資料を一つご紹介いたします。いわゆる柿右衛門様式の色絵の嗽碗(うがいわん)です。

嗽碗は、今ではあまり聞き慣れない種類の碗だと思います。もともと化粧道具の一つで、江戸時代には女性がお歯黒をする際や歯磨きの際に口をゆすぐために使ったものと云われています。

やや大ぶりで、逆ハ字形にほぼ直線的に開きながら底部から口縁部へと立ち上がるのが特徴で、通常の碗は主体となる文様は外面に描かれますが、嗽碗の場合は内面に主文様を配すことが一般的です。嗽碗は、元禄(1688~1704)前後頃に突如として多く出土が認められるようになり、その後はあまり目立たなくはなりますが江戸時代を通じて作り続けられています。

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写真の製品は、内山で生産された白磁碗に内山で上絵付けしたものと推測されます。柿右衛門様式自体は、もともと最高級品を生産した南川原山で1670年代に確立した様式で、酒井田家だけ生産したわけではないので、いわば南川原山様式ともいえます。

そのため、柿右衛門様式の生産の主体は南川原山ですが、それに続くランクの生産場所であった内山でも、一つの窯場での生産割合としては多くはありませんが、摸した製品が作られています。ただ、南川原山と内山では窯場の数が各段に異なるため、伝世品などでは内山製の柿右衛門様式も珍しいわけではありません。

南川原山と内山の柿右衛門様式の違いは、乳白手と称される白磁をはじめ素地の精製具合などにもいくらか違いが見られますが、分かりやすいのはむしろ色絵の方かと思います。内山の方がやや上絵具の色調が濃くて、濁った感じのものが多く、たとえば、南川原山の柿右衛門様式の緑絵具はやや青みを帯びた透明感のあるものですが、写真の碗では黄緑に近い色が使われています。これは、もっと古い時代に流行した上絵具の色調の名残です。さらに南川原山では金彩とする部分を、内山では黄色で塗り潰していることがほとんどです。

こうした違いには、最高級品の生産場所である南川原山と高級量産品の生産場所であった内山では、掛けることのできる生産コストの差が現れているものと推測されます。(村)H28.5.27

 

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