有田の陶磁史(21)

前回は、割竹式と連房式登窯の全長の違いについてお話ししました。今回は、見分け方、その2です。

さて、昭和期に全盛だった窯跡の学術調査では、窯体の焼成室を次々に掘り出して、ひと窯丸裸にする方法が一般的でした。しかし、昭和期の終わり頃から主流になった、開発に先行して窯跡の性格や範囲の事前把握を目的とする調査では、むしろ窯体を縦にではなく、物原まで通す横長の試掘を点々と行う方法が主流になりました。ということは、胴木間か窯尻のどちらかでもうまく探せない場合は、全長が分からないことになります。というか、普通はそんなに都合よくは残っていません。しかも、発掘調査は昭和の終わり頃からが圧倒的多数なので、どうしても部分的な個々の焼成室などの特徴から、割竹式と連房式を見分ける必要があるのです。

発掘調査時に、天井や側壁はほとんど残ってなくても、焼成室の平面の形状くらいは分かります。そこで最初の着眼点の一つは、側壁のラインの形状になります。割竹式の場合は側壁がまっすぐですが、連房式の場合は焼成室が団子状の形状なので、中央部が膨らんだ胴張りになるからです。理論上は…。ところが、残念ながらそんなに甘くありません。結構あるんです。連房式でもほぼまっすぐなのが。なので、胴張りならば連房式だと分かりますが、まっすぐなので必ずしも割竹式だとは限らないのです。

次に、なかなかgoodな方法として、温座の巣を造る際に用いる分焔柱の種類に着眼する方法があります。前に割竹式の登り窯の場合、分焔柱は「岸岳型」では粘土塊に粘土を巻き付けて、「伊万里型」では割石を芯に使用するのが基本であることを示しました。では、連房式はどうかと言えば、通常、粘土を四角柱状に成形したものを用います。いわゆる、有田では“トンバイ”って呼ばれる一種の耐火レンガです。この耐火レンガは、時代が下がると奥壁や側壁にも使うようになります。しかし、最初の頃は、窯の奥壁部分の床面に、縦位置で等間隔に並べて温座の巣の下面と側面の形を造りだし、横位置で隣の分焔柱との間に乗せて方形の温座の巣を造る用途だけに用いられています。つまり、別に原位置に残っていてもいなくても構わないので、このトンバイが発掘調査で発見されるかどうかということがポイントです。当然、トンバイを使用していれば、連房式の可能性が高くなります。

これまで、全長、側壁ラインの形状、分焔柱の種類について記してきました。まあ、この3つすべて満たしていれば、だいたい当たらずしも遠からずということではあるんですが。ただ、技術はグチャグチャに混じるって場面を痛いほど経験していますので、やはり石橋を叩いてなんぼというところでしょうか。やはり、割竹式と連房式で、構造上の決定的な違いがあるといいんですが…?もちろん、見つけてますよ。ただ、それは次回ということで…。
なんですが、担当の金曜日は来週は29日ということで、すでに年末休みですので、次回は来年ということになります。どうかみなさま、よいお年をお迎えください。(村)H29.12.22

図1_1

          図1 飯洞甕下窯跡(唐津市)〔割竹式〕

図2_1

          図2 東田代筒江窯跡(伊万里市)〔連房式〕

 

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