山辺田遺跡の出土品(14)

今回も、山辺田遺跡で出土した1630~40年代頃の初期伊万里様式の染付中皿です。器形としては浅めの皿で、口縁の先端部を外側に折っています。

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染付鯉文中皿

外面は初期伊万里様式の基本どおり、文様も銘も配されていません。一方、内面には、左向きとその後ろに下向きの魚が描かれ、その周囲に水流のような文様が散らされています。おそらくヒゲがあるので鯉だと思いますが、あまり写実的とは言えないユーモラスな姿です。

このような魚文を描くものとしては、たとえば、17世紀後半に主に東南アジアなどに輸出された、龍鳳見込み荒磯文の碗や鉢などは、生産量としてはかなりあります。見込みに波間から飛び上がる鯉の姿を摸した文様ですが、鉢の方はちゃんと魚の形をしていますが、碗の方は渦巻き文様に鯉のヒゲの名残りをとどめる2本の線が描かれるだけで、まったく魚の姿はしていません。

逆に柿右衛門様式の製品などにある鮎文の皿などは、南川原山のほか、類品は内山や外山の窯場などでも出土していますが、どれもかなり写実的に描かれるのが特徴です。

写真のような初期伊万里様式の魚文は数としてはそれほど多くはありませんが、いくつかの窯跡で出土しています。姿や向きなどはそれぞれ違いますが、例外なくあまり写実的とは言えない描き方をしています。
(村)H28.10.7

 

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