有田の窯跡2 -枳藪窯跡-

しばらく忙しく更新を怠っており、書きかけで止まっていたブログをとりあえず形にしました。第2回は、「枳藪(げずやぶ)窯跡」です。
所在地は有田町泉山一丁目にあります。史跡には指定されていませんが、調査により1基の登り窯跡が確認されている窯跡です。この窯跡の近くには、前回紹介をしました楠木谷窯跡が所在します。

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枳藪窯跡

発掘調査は、1996年に有田町教育委員会が主体となって行っています。その成果の報告書として、1997年3月に『枳藪窯・年木谷3号窯』を刊行しています。
調査により確認された窯体は、3室が確認されており、推定残存の全長は約10mで、窯壁には窯の廃材を利用しています。現状としては、窯体の下部は削平を受けており、壊滅しています。

出土製品は主として、粗雑な小皿が出土しています。良質な製品も出土していますが、質の差が大きく、良質なものは素焼き状態のものが多く、本焼き状態での出土はほとんど見られません。窯道具は楠木谷窯跡に似てボシ(サヤ鉢)が多く出土しており、その種類はロクロ成形や粘土紐成形、方形のボシも出土しています。ハマは円盤形が主体で変形のものも見つかっています。1640年代後半から1650年代に操業していました。

調査から21年たった現在は、宅地と畑地になっています。窯体があった場所は、私有地なので入ることはできませんが、説明板が残っているので現地に行くと、およその地形がわかります。なお、有田町教育委員会が刊行している報告書については、現在在庫がありませんのでご了承ください。

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枳藪窯跡遠景

(伊)H29.5.25

 

問い合わせ

文化財課 歴史民俗資料館
〒844-0001 佐賀県西松浦郡有田町泉山一丁目4番1号
電話:0955-43-2678 ファックス:0955-43-4185

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