毎年、立春が過ぎると当館のエントランスにお目見えするのが昭和初期ごろからの雛人形です。町内の白川保育園(現在は廃園)から寄贈していただいたものです。長い年月、飾っていく中で欠けてしまったものもありますが、御殿雛や漆器のお道具などは見応えがあります。
今年は、新たに寄贈いただいたミクロス(小さな陶磁器)や帯留めも展示しています。有田焼400年の歴史の中でこれらの小さな可愛い陶磁器の生産もありました。ミクロスは、今はない白川にあった満松さんの窯で生産されたものです。ぜひ、ご覧ください。
ミクロス
第二次世界大戦後、米軍佐世保基地の軍人や家族が有田焼を買いに来ていたころ、材料が少なくて手軽に作れるというので小動物や小さな置物などを作って好評を得ました。このミクロスという言葉は白川の陶芸家・北川伊平さんの次男美則さんがmicro(ミクロ・微小)からミクロスという言葉を思いついてつけられたものです。この製品は同じく白川にあった満松さんの窯で生産されたものです。
帯留め
昭和の初めころ、細工物が得意であった二宮都水さん(愛知県出身で33歳の時に有田に移住)が香蘭社や深川製磁、柿右衛門合資会社などで彫刻部門を担当した後、独立してそのかたわらに作ったのが帯留めでした。神埼町出身の作家・吉田絃二郎の妻に贈ったのが評判となり、帯留めブームが興りました。これが後のミクロス発展につながったといわれています