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有田異人館は、有田を代表する貿易商の田代助作が外国人の接待や宿泊のために明治9年に建築した擬洋風建築の建築物で、明治初頭の有田の繁栄を伝えています。佐賀県重要文化財として、これまで大切に保存するとともに、一般公開してまいりましたが、今回、国の文化審議会において重要文化財に指定することが文部科学大臣に答申されました。この結果官報告示を経て、国の重要文化財になる予定です。
指定の名称は「旧田代家西洋館」で、田代家から有田町に寄贈された「田代家文書」によるものです。祝賀会の案内状や手紙の控えから、当時、西洋館と呼ばれていたことがわかっています。また、小屋裏に残されていた明治9年の棟札1枚も、附(ツケタリ)指定となりました。棟札によって、明治9年に建設されたこととともに、施主、および建設に関わった大工名が明らかになっています。
旧田代家西洋館は、平成25年度に町が田代家から譲り受けた後、平成26年度から平成28年度にかけて大規模な調査解体工事、保存修理工事により明治9年の建築当初の姿に復原するとともに、耐震補強を経て、より安全な施設として、今後とも末永く活用していくことができる環境を整えました。平成29年度より、一般公開をして多くの皆様にごらんいただいてきました。
また有田町では、有田内山地区が平成3年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定され、以来、地区の住民の皆様とともに町並みの保存につとめてまいりました。その伝統的建造物のひとつの旧田代家西洋館が国の重要文化財に指定されたことは、有田町にとってたいへん名誉で喜ばしいことです。今回の重要文化財への指定基準は「学術的価値の高いもの」とされています。近代初頭の有田における商取引の様相を知る上で高い価値を有しているものと評価されました。
これまで様々な形で町並み保存に関わってくださった関係者の皆様に心から感謝するとともに、今後もこの貴重な文化財を将来に残していく決意を新たにしています。
※佐賀県HP 旧田代家西洋館(有田町)を国の重要文化財に指定するよう答申されました