第35回は、「清六ノ辻2号(せいろくのつじにごう)窯跡」です。
所在地は有田町南原です。史跡には指定されていません。
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清六ノ辻2号窯跡
清六ノ辻2号窯跡は、1982年に有田町教育委員会が調査主体となり、発掘調査が行われています。その後、1988年に『清六ノ辻2号窯跡』が有田町教育委員会より刊行されています。
発掘調査で確認された窯体は1基で、部分的に削平をされていますが、全体的に遺存状態は良く、胴木間も検出できています。物原については東側ですが、消防署の敷地拡張でほぼ壊滅と思われます。
遺物は、清六ノ辻1号窯跡と同じで、陶器が主体で磁器が少し出土しています。陶器は灰釉の碗、皿、小杯、火入れ、片口鉢、鉄釉の皿、片口鉢、火入れ、瓶、甕、灰釉・鉄釉掛分け皿が出土しており、1号窯同様に灰釉・鉄釉掛分けは清六ノ辻の窯場で特徴的なものです。磁器は染付の碗、皿が出土しています。窯道具のハマは基本的に円板形で、ボシはろくろ成形、陶器の目積みは砂目積みで、大形製品や型打ち成形の小皿の一部に胎土目積みが見られます。出土した遺物等から、1610年代~1630年代の操業と推測されます。
清六ノ辻2号窯跡の道路を挟んで対面に、前回ご紹介の清六ノ辻1号窯跡があり、清六ノ辻大師堂横窯跡が北側に所在しています。いずれも近くには説明陶板が建っていますが、消防署の裏や私有地、線路脇にありますので、また、緑が生い茂り始めたので現地を訪れる場合は十分に気をつけてください。なお、有田町教育委員会発行の発掘調査報告書については、有田町歴史民俗資料館において取り扱っておりますので、お問い合わせください。
(伊)H31.4.18