○有田町都市景観条例
平成18年3月1日
条例第177号
目次
第1章 総則(第1条―第10条)
第2章 歴史的景観形成地域(第11条―第17条)
第3章 伝統的建造物群保存地区(第18条―第24条)
第4章 風致保全地区(第25条―第28条)
第5章 景観形成指定建築物等(第29条―第33条)
第6章 助成等(第34条―第36条)
第7章 都市景観審議会(第37条・第38条)
第8章 罰則(第39条・第40条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、市街地の歴史的風致の維持、歴史性及び地域性豊かな伝統的建造物群の保存その他の都市景観の形成に関し必要な事項を定めることにより、有田らしい都市景観を守り、育て、つくり、もってわたしたちのまち有田を、町民一人一人にとって、親しみと愛着と誇りあるものとすることを目的とする。
(1) 都市景観の形成 有田らしい都市景観を守り、育て、つくることをいう。
(2) 歴史的景観 歴史的建造物が数多く存在し、自然その他の環境と一体となって有田らしい歴史と文化を表現し、形づくっている景観をいう。
(3) 伝統的建造物群 文化財保護法(昭和25年法律第214号)第2条第1項第6号に掲げる伝統的建造物群をいう。
(4) 伝統的建造物群保存地区 文化財保護法第142条に規定する伝統的建造物群保存地区をいう。
(5) 建築物等 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物(以下「建築物」という。)及び建築物以外の工作物で規則で定めるものをいう。
(6) 事業者 建築物等の施工主をいう。
(7) 専門家 建築物等の設計又は施工を業として行うものをいう。
(町長の基本的責務)
第3条 町長は、この条例の目的を達成するための基本的かつ総合的な施策を策定し、及びこれを実施しなければならない。
2 町長は、前項の施策の策定及び実施に当たっては、町民、事業者及び専門家の意見が十分に反映されるよう努めなければならない。
(都市景観の形成に係る基本計画の策定)
第4条 町長は、都市景観の形成に関する基本的な方向を明らかにした都市景観形成基本計画を策定するものとする。
(都市景観の形成の先導的役割)
第5条 町長は、公共施設、公益施設等の設備を行う場合には、都市景観形成基本計画との整合性を図るとともに、都市景観の形成に先導的役割を果たすよう努めなければならない。
(国の機関等に対する協力要請)
第6条 町長は、必要があると認めるときは、国若しくは地方公共団体の機関又は法令の規定により国の行政機関若しくは地方公共団体とみなされた法人(以下「国の機関等」という。)に対し、景観形成について協力を要請するものとする。
(啓発)
第7条 町長は、町民、事業者及び専門家が、都市景観の形成に寄与することができるよう、都市景観の形成に関する知識の普及及び意識の高揚を図る等、必要な措置を講じなければならない。
(助言及び指導)
第8条 町長は、都市景観の形成について助言し、又は指導する場合において、第37条に規定する有田町都市景観審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴くことができる。
(町民、事業者及び専門家の責務)
第9条 町民、事業者及び専門家は、都市景観に関する意識を高めることにより、それぞれの立場から都市景観の形成に寄与するよう努めなければならない。
2 町民、事業者及び専門家は、町長その他の行政機関が実施する都市景観の形成に関する施策に協力しなければならない。
3 町民、事業者及び専門家は、都市景観の形成に寄与するために相互に協力しなければならない。
(都市景観の形成への配慮)
第10条 町民、事業者及び専門家は、建築物等の新築、増築、改築、修繕、模様替え又は色彩の変更、土地の形質の変更等を行おうとするときは、都市景観の形成に配慮しなければならない。
第2章 歴史的景観形成地域
(歴史的景観形成地域の指定)
第11条 町長は、都市景観の形成を図るため、必要な地域を歴史的景観形成地域(以下「景観形成地域」という。)として指定するものとする。
2 景観形成地域は、次の各号のいずれかに該当する地域について指定するものとする。
(1) 緑地、斜面、河川又は道路に沿って有田らしい歴史的景観を形づくっている地域
(2) 伝統的な建築物等が一体をなしてその地区の特色を表し、有田らしい歴史的景観を形づくっている地域
(3) 住宅又は商業業務施設が一体をなして有田らしい歴史的景観を形づくっている地域
(4) 歴史的景観の形成のために計画的に整備をしていく必要がある地域
(5) 前各号に掲げるもののほか、町長が歴史的景観の形成のために必要と認める地域
3 町長は、第1項の景観形成地域を指定したときは、これを告示しなければならない。
4 前項の規定は、景観形成地域を変更した場合について準用する。
(景観形成計画の策定)
第12条 町長は、前条第1項の指定をしたときは、当該景観形成地域に係る景観形成計画を策定するものとする。
2 景観形成計画は、当該景観形成地域の景観形成の基本方針その他景観形成に関し必要な事項について定めるものとする。
3 前条第3項の規定は、景観形成計画の策定及び変更について準用する。
(景観形成基準)
第13条 町長は、景観形成地域を指定したときは、景観形成地域ごとに、景観形成のための基準(以下「景観形成基準」という。)を定めるものとする。
2 景観形成基準は、次に掲げる事項のうち必要なものについて定めるものとする。
(1) 建築物等の高さ、形態、色彩及び意匠に関する事項
(2) 建築物等の配置に関する事項
(3) 土地の形質に関する事項
(4) 木竹の態様に関する事項
(5) 前各号に掲げるもののほか、歴史的景観の形成のために町長が必要と認める事項
3 第11条第3項の規定は、景観形成基準の制定及び変更について準用する。
(行為の届出等)
第14条 景観形成地域内において、次に掲げる行為を行おうとする者は、規則で定めるところにより、あらかじめ、その内容を町長に届け出なければならない。
(1) 建築物等の新築、増築、改築、移転又は除却
(2) 建築物等の大規模の修繕、大規模の模様替え、外観の過半にわたる色彩の変更
(3) 宅地の造成その他土地の形質の変更で規則で定めるもの
(4) 木竹の伐採で規則で定めるもの
(5) 土石類の採取で規則で定めるもの
(1) 非常災害のために必要な応急措置として行う行為
(2) 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で規則で定めるもの
(景観形成基準の遵守)
第15条 前条第1項各号のいずれかに該当する行為を行おうとする者は、景観形成基準に適合するよう努めなければならない。
(景観形成基準に基づく助言及び指導)
第16条 町長は、第14条第1項の規定による届出があった場合において、届出に係る行為が景観形成基準に適合しないと認めるときは、当該届出をした者に対し、必要な措置を講ずべきことを助言し、又は指導するものとする。
(空地に係る助言及び指導)
第17条 町長は、景観形成地域内において、空地が当該地域の景観を阻害していると認めるときは、当該空地の所有者又は管理者に対し、都市景観の形成を配慮した適正な空地の管理又は利用を図るよう助言し、又は指導することができる。
第3章 伝統的建造物群保存地区
(伝統的建造物群保存地区の決定)
第18条 町長は、景観形成地域内において、伝統的建造物群及びこれと一体をなしてその価値を形成している環境を保存する必要がある地区について、文化財保護法第143条第2項の規定により、伝統的建造物群保存地区(以下「保存地区」という。)を定めるものとする。
(保存活用計画)
第19条 有田町教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、保存地区が定められたときは、審議会の意見を聴いて、当該地区の保存及び活用に関する計画(以下「保存活用計画」という。)を定めるものとする。
2 保存活用計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 保存地区の保存及び活用に関する基本計画に関する事項
(2) 保存地区内における伝統的建造物群を構成している建築物等(以下「伝統的建造物」という。)及び伝統的建造物群と一体をなす環境を保存するため特に必要と認められる物件(以下「環境物件」という。)の決定に関する事項
(3) 建築物等及び環境物件の保存整備計画に関する事項
(4) 建築物等及び環境物件に係る助成措置等に関する事項
(5) 保存地区の保存のため必要な管理施設及び設備並びに環境の整備等に関する事項
3 教育委員会は、第1項の保存活用計画を定めたときは、これを告示しなければならない。
(現状変更行為の規制)
第20条 保存地区内において、次に掲げる行為を行おうとする者は、あらかじめ、町長及び教育委員会の許可を受けなければならない。
(1) 建築物等の新築、増築、改築、移転又は除却
(2) 建築物等の外観を変更することとなる修繕、模様替え又は色彩の変更
(3) 宅地の造成その他の土地の形質の変更
(4) 木竹の伐採
(5) 土石類の採取
(1) 非常災害のために必要な応急措置として行う行為
(2) 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で規則で定めるもの
3 町長及び教育委員会は、第1項の許可を与える場合には、保存地区の保存のために必要な限度において条件を付すことができる。
(1) 伝統的建造物の増築若しくは改築又はその外観を変更することとなる修繕、模様替え若しくは色彩の変更については、それらの行為後の伝統的建造物の位置、規模、形態、意匠又は色彩が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。
(2) 伝統的建造物の移転(同一保存地区内における伝統的建造物の移築を含む。以下この号において同じ。)については、移転後の伝統的建造物の位置及び移転後の状態が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。
(3) 伝統的建造物の除却については、除却後の状態が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。
(4) 伝統的建造物以外の建築物等の新築、増築若しくは改築又はその外観を変更することとなる修繕、模様替え若しくは色彩の変更については、それらの行為後の当該建築物等の位置、規模、形態、意匠又は色彩が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。
(5) 前号の建築物等の移転については、移転後の当該建築物等の位置及び移転後の状態が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。
(6) 伝統的建造物以外の建築物等の除却については、除却後の状態が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。
(8) 前各号に定めるもののほか、当該行為後の建築物等又は土地の用途等が当該伝統的建造物群の保存又は当該保存地区の環境の維持に著しい支障を及ぼすおそれがないものであること。
(1) この章の規定又はこれに基づく処分に違反した者
(2) この章の規定又はこれに基づく処分に違反した工事の注文主若しくは請負人(請負工事の下請人を含む。)又は請負契約によらないで自らその工事をしている者若しくはした者
(3) 第20条第3項の規定により付した条件に違反している者
(4) 詐欺その他不正な手段により第20条第1項の規定による許可を受けた者
2 町長及び教育委員会は、前項の規定により処分し、又は必要な措置をとることを命じようとするときは、あらかじめ審議会の意見を聴き、かつ、当該処分又は措置を命ずべき者について、聴聞を行わなければならない。
第4章 風致保全地区
(風致保全地区の指定)
第25条 町長は、景観形成地域の周囲において、特に有田の歴史的風致を維持することが必要な地区について風致保全地区として指定するものとする。
2 町長は、前項の風致保全地区を指定したときは、これを告示しなければならない。
3 前項の規定は、風致保全地区を変更した場合について準用する。
(風致保全地区内における工作物等の保全)
第26条 風致保全地区内における工作物等については、それが持つ歴史性及び景観が損なわれないよう保全しつつ整備するものとする。
(建築物の新築等に係る町長の意見)
第27条 町長は、風致保全地区内において、建築物の新築、増築、改築、移転、大規模の修繕又は大規模の模様替えを行おうとする者に対し、その風致の保全に関し意見を述べることができる。
(行為の届出)
第28条 前2条に係る行為を行おうとするものは、規則で定めるところにより、あらかじめ、その内容を町長に届け出なければならない。
第5章 景観形成指定建築物等
(景観形成指定建築物等の指定)
第29条 町長は、景観形成地域(伝統的建造物群保存地区を除く。)内において景観形成上重要な価値があると認められる建築物等及びその他建築物等と一体となる物件を景観形成指定建築物等(以下「指定建築物等」という。)として指定することができる。
2 町長は、前項の指定をしようとするときは、審議会の意見を聴くとともに、当該指定をしようとする指定建築物等の所有者及び権原に基づく占有者(以下「所有者等」という。)の同意を得なければならない。
3 町長は、第1項の指定をしたときは、その旨を告示するとともに、当該指定をした指定建築物等の所有者等に通知しなければならない。
4 町長は、指定建築物等が朽廃、滅失等により都市景観形成上の価値を失ったと認めるとき、又は公益上の理由その他特別の理由があると認めるときは、当該指定建築物等に係る指定を解除するものとする。
5 第3項の規定は、指定建築物等の指定の解除について準用する。
6 伝統的建造物群保存地区内保存活用計画に定める、伝統的建造物及び環境物件を指定建築物等とみなすものとする。
(保全基準)
第30条 町長は、前条第1項の指定をしたときは、指定建築物等の保全に係る基準(以下「保全基準」という。)を定めるものとする。
(現状変更行為の届出)
第31条 指定建築物等について、次に掲げる行為をしようとする者は、規則で定めるところにより、町長に届け出なければならない。
(1) 指定建築物等の増築、改築、移転又は除却
(2) 指定建築物等の外観を変更することとなる修繕、模様替え、色彩の変更
(3) 前2号に掲げるもののほか、指定建築物等の外観に影響を及ぼすおそれのある行為で規則で定めるもの
(1) 非常災害のために必要な応急措置として行う行為
(2) 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で規則で定めるもの
(保全基準の遵守)
第32条 前条第1項各号のいずれかに該当する行為を行おうとする者は、保全基準に適合するよう努めなければならない。
(保全基準に基づく助言及び指導)
第33条 町長は、第31条第1項の規定による届出があった場合において、当該届出に係る行為が保全基準に適合しないと認めるときは、当該届出をした者に対し、必要な措置を講ずべきことを助言し、又は指導するものとする。
第6章 助成等
(保存地区に係る助成等)
第34条 町長は、保存地区内における建築物等及び環境物件の修理、修景又は復旧について、自ら保存のため適当な措置を行い、当該建築物等又は環境物件の所有者等に対し、技術的援助を行い、その行為に要する経費の一部を助成することができる。
(指定建築物等に係る助成)
第35条 町長は、指定建築物等の所有者に対し、当該指定建築物等の保全のため、所有者に対し技術的援助を行い、その行為に要する経費の一部を助成することができる。
(都市景観の形成に係る融資のあっせん)
第36条 町長は、前条に定めるものを除くほか、都市景観の形成のために必要な行為をしようとする者に対し、技術的援助を行い、又はその行為に要する経費の一部の融資をあっせんすることができる。
第7章 都市景観審議会
(都市景観審議会の設置)
第37条 町長及び教育委員会の附属機関として、有田町都市景観審議会を置く。
2 審議会は、町長又は教育委員会の諮問に応じ、都市景観の形成に関する基本的事項又は重要事項を調査審議するものとする。
3 審議会は、都市景観の形成に関する事項について、町長又は教育委員会に意見を述べることができる。
(組織及び運営)
第38条 審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則又は教育委員会規則で定める。
第8章 罰則
(罰則)
第39条 次の各号のいずれかに該当する者は、5万円以下の罰金又は5万円以下の過料に処する。
(1) 第20条第1項の規定に違反した者
(2) 第24条第1項の規定に基づく命令に違反した者
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成18年3月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の日(以下「施行日」という。)の前日までに、合併前の有田町都市景観条例(平成元年有田町条例第44号。以下「合併前の条例」という。)の規定によりなされた処分、手続その他の行為は、この条例の相当規定によりなされた処分、手続その他の行為とみなす。
3 施行日の前日までにした行為に対する罰則の適用については、なお合併前の条例の例による。
附則(令和2年条例第8号)
この条例は、公布の日から施行する。