○有田町中高層建築物等の建築に係る紛争の予防及び調整に関する条例

平成18年9月19日

条例第212号

目次

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 建築主等の配慮等(第7条―第9条)

第3章 建築計画の周知(第10条―第13条)

第4章 あっせん(第14条―第16条)

第5章 調停(第17条―第24条)

第6章 雑則(第25条―第27条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、中高層建築物等の建築に関し建築主等が配慮すべき事項、建築計画の周知の手続、紛争のあっせん及び調停の手続その他必要な事項を定めることにより、建築に伴う紛争の予防及び調整を図るとともに、良好な近隣関係を保持することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において使用する用語は、建築基準法(昭和25年法律第201号。以下「法」という。)及び建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)において使用する用語の例による。

2 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 中高層建築物等 次に掲げる建築物等をいう。

 地階を除く階数が4以上の建築物又は高さが15メートルを超える建築物

 高さが15メートルを超える携帯電話の電波塔

(2) 建築主等 中高層建築物等に関する工事の請負契約の注文者又は請負契約によらないで自らその工事をする者並びにその建築等に係る設計者、工事管理者及び工事施工者をいう。

(3) 近隣住民 次に掲げる範囲内にある土地又は建築物(その敷地の一部が当該範囲内にあるものを含む。)の所有者及び管理者をいう。

 第1号アに規定する建築物の敷地境界線からの水平距離が当該建築物の高さの1.5倍に相当する距離の範囲

 第1号イに規定する電波塔の敷地境界線からの水平距離が当該電波塔の高さの1.5倍に相当する距離の範囲

(4) 周辺住民 近隣住民以外の者で中高層建築物等の建築により工事の騒音等住環境に影響を受けると認められるものをいう。

(5) 紛争 中高層建築物等の建築が住環境に及ぼす影響に関する建築主等及び近隣住民(以下「紛争当事者」という。)の間の紛争をいう。

(適用除外)

第3条 この条例は、次に掲げる中高層建築物等については、適用しない。

(1) 法第18条第1項又は第85条に規定する建築物

(2) 敷地及び周囲の状況等により、紛争の生ずるおそれがないと町長が認める建築物

(町の責務)

第4条 町長は、紛争を未然に防止するよう努めるとともに、紛争が生じたときは、適切にあっせん及び調停を行うよう努めるものとする。

(建築主等の責務)

第5条 建築主等は、中高層建築物等の建築に際し、周辺の住環境に十分に配慮するとともに、良好な近隣関係を損なわないよう努めなければならない。

(紛争当事者の責務)

第6条 紛争当事者は、紛争が生じたときは、双方の立場を尊重し、自主的に解決するよう努めなければならない。

第2章 建築主等の配慮等

(建築計画上の配慮)

第7条 建築主等は、中高層建築物等の建築の計画(以下「建築計画」という。)の立案に際し、日照、交通の安全その他の周辺の住環境に及ぼす影響に配慮するように努めなければならない。

(工事の施工に伴う措置)

第8条 建築主等は、中高層建築物等を建築する工事の施工により周辺の住環境に及ぼす影響を最小限にとどめるため、当該工事により発生する騒音及び振動の低減、ほこり等の飛散防止その他必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

2 建築主等は、中高層建築物等を建築する工事の施工に当たり、工事車両の通行等により周辺住民の通行への安全に支障が生ずると予測される場合は、安全を確保するため適切に措置を講ずるよう努めなければならない。

(電波障害対策)

第9条 建築主等は、中高層建築物等の建築によりテレビ電波受信障害が生じ、又は生ずると予測されるときは、当該テレビ電波受信障害を防止し、又は解消するために必要な措置を講じなければならない。

第3章 建築計画の周知

(標識の設置)

第10条 建築主等は、近隣住民にその建築計画の周知を図るため、規則で定めるところにより、当該建築計画の概要を記載した標識を設置しなければならない。

2 前項の標識は、当該標識に係る中高層建築物等を建築する工事に着手する日まで設置しなければならない。

3 建築主等は、第1項の標識を設置したときは、規則で定めるところにより、速やかにその旨を町長に報告しなければならない。

(説明会の開催等)

第11条 建築主等は、建築計画に係る規則で定める事項について近隣住民に対する説明(以下「事前説明」という。)をしなければならない。

2 建築主等は、周辺住民の求めがあるときは、前項の規則で定める事項について当該周辺住民に対する説明をしなければならない。

3 建築主等は、事前説明及び前項の説明について、説明会の開催を求められたときは、これに応じるよう努めなければならない。

(報告)

第12条 中高層建築物等の建築主等は、事前説明、前条第2項の説明及び周知の状況を町長に報告しなければならない。

2 前項の規定による報告は、第10条第1項の標識を設置した日から起算して15日を経過した日以降で、かつ、法第6条第1項又は第6条の2第1項に規定する確認申請(以下「確認申請」という。)をしようとする日の30日前までに提出しなければならない。

(建築計画等の変更の手続)

第13条 建築主等は、第10条第1項の規定による標識の設置の日から当該中高層建築物等に係る確認申請をしようとする日までの間に、当該中高層建築物等の建築計画の変更をしたときは、当該変更の内容について、前3条の規定による標識の設置、事前説明その他の手続を経なければならない。この場合において、第11条第2項に規定する求めの有無にかかわらず、同項に規定する説明を受けた周辺住民に対し、当該変更の内容について説明をしなければならない。

2 前項の規定にかかわらず、同項に規定する変更により周辺の住環境に及ぼす影響が当該変更前と比較して改善され、又は当該変更の内容が周辺の住環境に影響を及ぼさないと認められるときは、同項の手続を経ることを要しない。

第4章 あっせん

(あっせん)

第14条 紛争当事者は、紛争が生じた場合において、第6条の規定による自主的な解決の努力を尽くしてもなお紛争の解決に至らないときは、当該紛争のあっせんを町長に申し出ることができる。

2 前項の規定によるあっせんの申出は、当該紛争に係る中高層建築物等の工事の着手前に行わなければならない。

3 町長は、第1項の規定による申出があったときは、紛争当事者間に合意が成立するようあっせんを行うものとする。

4 町長は、あっせんのため必要があると認めるときは、紛争当事者に対し、出席を求めて意見若しくは説明を聴き、又は資料の提出を求めることができる。

(あっせんの打切り)

第15条 町長は、紛争について、あっせんにより紛争当事者間に合意が成立する見込みがないと認めるときは、当該あっせんを打ち切ることができる。

(あっせんの非公開)

第16条 あっせんの手続は、公開しない。

第5章 調停

(調停の申出)

第17条 紛争当事者は、前章に規定するあっせんによっても紛争の解決に至らないときは、当該紛争の調停を町長に申し出ることができる。

2 前項の規定による申出は、当該紛争に係る中高層建築物等の工事の着手前に行わなければならない。

3 町長は、紛争当事者の一方から調停の申出があった場合において、必要があると認めるときは、他の紛争当事者に対し、相当の期限を定めて調停に付することを受諾するよう勧告することができる。

(委員会への付託)

第18条 町長は、紛争当事者の双方が紛争の調停を申し出たとき、又は紛争当事者の一方から調停の申出がなされた紛争について他の紛争当事者が調停に付することを受諾したときは、有田町紛争調停委員会(以下「委員会」という。)に当該紛争の調停を付託するものとする。

(調停前の措置)

第19条 委員会は、調停前に紛争当事者に対し、調停の内容となる事項の実現を著しく困難にする行為を行わないことその他調停のために必要と認める措置を講ずることを要請することができる。

(調停)

第20条 委員会は、第18条の規定による調停の付託があったときは、紛争当事者間に合意が成立するよう調停を行うものとする。

2 委員会は、調停のため必要があると認めるときは、紛争当事者に対し、出席を求めて意見若しくは説明を聴き、又は資料の提出を求めることができる。

3 委員会は、紛争当事者の主張その他紛争に係る事情を考慮した上で調停案を作成し、これを当該紛争当事者に提示するものとする。

4 紛争当事者は、前項の規定により提示を受けた調停案(以下「調停案」という。)について、委員会が定める期限内に、これに同意するか否かを回答しなければならない。

(調停の打切り)

第21条 委員会は、調停に係る紛争について、次の各号のいずれかに該当するときは、調停を打ち切ることができる。

(1) 紛争当事者間に合意が成立する見込みがないと認めるとき。

(2) 紛争当事者の双方又は一方が調停案について同意しないとき。

2 前項の規定により調停が打ち切られたときは、紛争当事者は、当該調停に係る紛争について再度の調停を申し出ることはできない。

(報告)

第22条 委員会は、調停が終了したときは、速やかにその旨を町長に報告しなければならない。

(調停の非公開)

第23条 調停の手続は、公開しない。

(紛争調停委員会)

第24条 この条例の規定による調停を行うため、有田町建築紛争調停委員会を置く。

2 委員会は、調停のほか、町長の諮問に応じ、紛争に関する重要事項について調査し、及び審議する。

3 委員会は、委員5人以内をもって組織する。

4 委員は、法律、建築、行政等の分野に関し経験及び知識を有する者その他町長が適当と認める者のうちから町長が委嘱する。

5 委員の任期は、2年とし、再任は、妨げない。ただし、委員が欠けたときの補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

6 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

7 この条例に定めるもののほか、委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

第6章 雑則

(指導又は勧告)

第25条 町長は、次の各号のいずれかに該当するときは、建築主等に対し、期限を定めて必要な措置を講ずるよう指導し、又は勧告することができる。

(1) 第10条第1項の規定による標識を設置しないとき。

(2) 第12条第1項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

(公表)

第26条 町長は、第17条第3項の規定による勧告を受けた紛争当事者がこれに従わないとき、又は前条の規定による指導若しくは勧告を受けた建築主等が正当な理由がなくこれに従わないときは、その旨を公表することかできる。

(委任)

第27条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成19年1月1日から施行する。

(適用)

2 第3章の規定は、平成19年4月1日以後に確認申請をしようとする中高層建築物等の建築について適用する。

有田町中高層建築物等の建築に係る紛争の予防及び調整に関する条例

平成18年9月19日 条例第212号

(平成19年1月1日施行)