産業陶磁器部門の作品は、展示期間中【佐賀県陶磁器工業協同組合】にて販売されました。
経済産業大臣賞
瑞雪 (ズイセツ) 【原田 吉泰】佐賀県
静かに降る雪が景色を白銀に染め上げていく様に感動と期待を込めてしまう。
その降り積もる過程を磁器の持つ色で段階的に表現しました。
2位・佐賀県知事賞
一片 (ヒトヒラ) 【望月 優】長崎県
有田町では陶片を見ることができます。その小さなカケラを見るとどんな人が制作したの?この絵の続きは?と色々想像してわくわくします。また、昔からの技術のカプセルだったり小さなカケラは・・・割れてしまったゴミだったりもします。そんなカケラをくっつけたら今と昔がつながりおもしろいと思い制作しました。また、昔の器を見ると5つセットでも書き方も自由だったり、そろっていなかったりおもしろいと感じます。また器でも遊びがあり生活を楽しんでいる感じがします。今の器ももっと〝粋〟な作品やもっと遊びがある器があると生活が楽しいし豊かだと思い制作しました。(磁器、ろくろ成形)
3位・有田町長賞
流釉平鉢呉須彩色(リュウユウヒラバチゴスサイショク) 【西 隆行】佐賀県
ロクロ成形で作った器にオリジナルの流れる透明釉を施釉しました。縁に呉須を塗り呉須が流れて模様を作っています。
朝日新聞社賞
白磁帯文 皿(ハクジオビモン サラ) 【井上 祐希】佐賀県
ロクロで成形後、彫りによって帯のような模様を表現しました。手作りの為、帯の入り方が1点1点異なります。裏面にも彫模様が入っておりますので、是非お手に取ってご覧ください。
熊本放送賞
MOON LEAF(ムーンリーフ) 【藤内 紗恵子】岐阜県
釉薬の貫入に墨を入れることによって、模様が浮かび上がる皿です。ろくろの引き方、釉薬の溜り方、焼きのわずかな違いで一枚一枚に異なる表情が生まれます。
佐賀県商工会議所連合会賞
Dolce(ドルチェ) 【澤村 花菜】佐賀県
ショーウインドウに並べられたケーキをイメージして制作しました。数あるなかから色鮮やかなケーキを選ぶ楽しみを感じてほしいです。「ラズベリーのムース」「苺のショートケーキ」「シトラスのケーキ」「クラッシュゼリー」「サイダー」をそれぞれのモチーフとして図案を作りました。ボンボニエールとして、中にカラフルなお菓子などを入れて使ってほしいです。
佐賀新聞社賞
磁器セード(ジキセード) 【株式会社池田製陶所 池田 正寿】佐賀県
今まで有田焼の可能性を追求して参りました。その中で、照明メーカーとの交流で今回の作品が生まれました。あくまで有田焼の特徴である、天草陶石を主とした透光性のある原料(ホワイトブルー)を使用しこの特徴を出した作品です。
サガテレビ賞
Flowrous【Ceramic Aroma Reed Diffuser】(フローラス【セラミック アロマ リード ディフューザー】) 【畑萬陶苑 × Promoduction】佐賀県
花をモチーフにした、新開発の陶磁器製アロマ・リード・ディフューザーです。微細な多孔質の陶磁器素材が、植物の原理と同様にアロマオイルを吸い上げ、自然揮発させることで香りを拡げます。佐賀県窯業技術センターが開発した多孔質の新素材を用い、最先端の3Dデジタルデザイン技術を活用し、本物の花を思わせるディティールを表現しました。
陶業時報社賞
氷青磁稜線文花器(ヒョウセイジリョウセンモンカキ) 【青木 昌勝】佐賀県
西日本新聞社賞
Flower(フラワー) 【中原 真希】長崎県
焼締でも美しい上質な天草陶石の陰影。光を透過した花のレリーフは透明感が増します。ロクロにて水挽き成形した薄挽きの素地に彫加工を施し高温で焼き上げました。
日刊工業新聞社賞
HOD White In Versi(エイチオーディー ホワイト イン ベルシ) 【有限会社李荘窯業所 寺内 信二】佐賀県
インテリア分野への可能性を求めた海外デザイナーとのコラボ作品。
「森」をテーマに、Italy×Aritaによる新たな価値への挑戦、デザイナー「Gum Design」、間を繋ぐ「Hands on design」の三者で知恵を出し合い存在感のある一品に。
日本経済新聞社賞
TOUSEKI(トウセキ) 【株式会社キハラ 池田 和浩】佐賀県
有田焼の主原料である「陶石」に着目し、有田が日本初の磁器発祥の地となるきっかけとなった泉山磁石場から実際に採石した石を型取った「TOUSEKI」。オブジェのようでもあるが、箸置やカトラリーレストとして使える形状に仕上げた実用品です。歴史的背景とともに、ダイレクトに視覚に訴えるデザインで、有田焼(磁器)とは?を伝える、コミュニケーションツールのひとつとなることを目指しています。
読売新聞社賞
金彩モイスト松変型皿揃(キンサイモイストマツヘンケイザラソロエ) 【畑石 眞嗣】佐賀県
古鍋島の松変型皿を再現した形で青磁を調合し透明度とやわらかさを追及しサンドブラストした事によりしっとりとした質感を出し、又、料理を盛り付けた時、料理を引き立てる良さがあります。(モイストはしっとりという意味のブランドとして出しています)
有田焼卸団地協同組合賞
二彩唐津花火紋皿(ニサイカラツハナビモンサラ) 【岡本 作礼】佐賀県
釉薬の流れで、紋様を表現しました。融点の違う2種類の釉薬を2重掛けし、溝の間から流れる釉薬で紋様を表現しました。溝と溝の幅を変える事で紋様に変化をもたせ、混じり合った中心にはブルーの色が発色した。
佐賀県陶磁器工業協同組合賞
緩 yururi NUOVO 古紋 九寸皿(ユルリ ヌォーヴォ コモン キュウスンザラ) 【川副青山窯 川副 史郎】佐賀県
磁器でできる質感と日本古来の地紋とのバランスを追求しました。一見したら陶器、鉄器にもみえる地肌と、見る角度によって黒や金にもみえる漆器のような地紋の組み合わせによって、和のシーンだけではなく洋のシーンでも食卓を引き立たせる作品を目指しました。
佐賀県陶磁器商業協同組合賞
急須(小)と小千茶碗(キュウス(ショウ)トコセンチャワン) 【今村 堅一】佐賀県
三種(青海波、七宝、麻の葉)の文様を彫りで表現しました・100人に10人が『左利き』ということで『左利き用』も作りました。
肥前陶磁器商工協同組合賞
水だし冷茶ボトルと仙茶(ミズダシレイチャボトルトセンチャ) 【有限会社副千製陶所 副島 謙一】佐賀県
土瓶・急須などの袋物アイテムの減少の折、この産地での排泥鋳込を行う生地屋等の確保が難しくなってきた。そこで新しい生活スタイルに合せたアイテムの提案を考え冷蔵庫のサイドポケットに収納できかつ近年の水出しによる冷茶に対応したボトルを開発、新たなアイテムとジャンルを作り出し需要を掘りおこしたいと思い作成しました。
陶都有田国際交流協会賞
曲玉たちの合唱(マガタマタチノガッショウ) 【崔戊植】大韓民国
1.形象:駕洛国の王冠の曲玉の断面を応用したもの。
2.成形の方法:Slip casting技法で成形した後、鑄込口を埋める。
3.駕洛国許王后の道袍の裾文様を応用し、黒天木目釉の上に白色の文様を表現する。
4.メイン皿(大)2個、曲玉小皿(中)2個、曲玉ソース皿(小)2個で2人前が揃っている。
5.器物の中は空き状態で、軽く、安定的である。
技能賞
錦華仙様式 半酒器(ニシキカセンヨウシキ ハンシュキ) 【創作絵師 華仙】佐賀県
「華やかで鮮やかで、贅沢な酒器セットを作る」というテーマから制作を始めました。更紗模様は繊細でカラフルになるように色をたくさん使用し、唐草はムラサキをメインに色付けをしました。それにより、模様のストライプになるようデザインを致しました。
金彩箇所には、金彩で描いた唐草を白ぬきになるように描いていき、その白ぬきの中に細かく“青海波”の地紋を入れました。
雲のような唐草の中から海(風景)が見えているイメージ出す。またその青海波に立体感や美しさを出すために、桜を思わすうすいピンクの絵具をのせ、見る角度によって、金に負けないようにキラキラ見えるようにこだわりました。そして中央には、鍋島の櫛高台の地紋を描き、全体のバランスを引きしめております。
技能賞
染付花唐草 平鉢(ソメツケハナカラクサ ヒラバチ) 【石原 豊孝】佐賀県
持って使っていただきたい形でいろんな料理を盛って楽しく。
第116回 産業陶磁器部門 出品者、招待作品、参考作品
第116回 有田国際陶磁展 産業陶磁器部門 審査表
2019.4.18
審査評
審査長 小坂智子
「有田国際陶磁展」は,120年以上の伝統を誇る公募展である。長い伝統の継承は,革新の積み重ねによって成し遂げられる。有田焼創業400年を経て,新しい息吹が吹き込まれた今年の本展の産業陶磁器部門には,89人の出品者による103点の作品が集められ,伝統を継承する志のあるもの,新しい試みに挑戦するもの,伝統と新しさの両方をバランスよく取り入れるものなどを,さまざまに見ることができた。
私たちが担当した産業陶磁器部門では,作家性と商業性の両面について,目配りしつつ,審査員それぞれのバックグラウンドに基づく視点から,審査にあたることとした。
経済産業大臣賞に輝いた《瑞雪》は,静かに降る雪が景色を変えていく様を表現している。六つの器は,一つずつ次第に白い雪に覆われ,そこには,静かな時間の変化が示される。器として和洋にこだわらずに使用できるたたずまいも評価のポイントとなった。
佐賀県知事賞の《一片》もまた,時間を感じる作品である。しかし,ここに示されるのは,時間による変化ではなく,昔と今との融合である。陶片によって示される昔は,現在の生活の器に取り込まれる。アップサイクルという考え方を,現代生活に投げかけている点も注目された。
《流釉平鉢呉須彩色》は,有田町長賞を受賞した。ろくろで成形された器に流れる透明な緑の釉の美しさと,流れる釉を巧みにコントロールしている表現が評価され,この器の使われるシーンを多様に想像させる力をもっている。
これら3賞の作品を筆頭に,力のこもったさまざまな作品を審査する時間は,素晴らしく,楽しい時間であった。審査にあたる私たちには,出品者の方々の顔は見えない。ベテランの方も若い作家の方々も出品されているときく。今後は,有田や肥前地域のみならず,国内外から多くの若い作家たちが,この伝統ある陶磁展を経て育ち,そして,回を重ねていく有田国際陶磁展がさらに活気のあるものとして,継続されていくことを心より願っている。
第116回 有田国際陶磁展 産業陶磁器部門 審査員
氏名 | 所属 | 備考 |
小坂 智子 | 佐賀大学 芸術地域デザイン学部 学部長 | 東京生まれ。 慶應義塾大学文学部哲学科美学美術史学専攻卒業。 シドニー大学大学院文学部芸術学専攻修士課程修了。 石橋財団ブリヂストン美術館、慶應義塾大学アート・センター、長崎国際大学勤務を経て現職。 報告書に「ダークツーリズムの現状と展開に関する研究」、「日本の『近代美術館』草創期の思想を聞く」(共著)などがある。 |
高橋 俊宏 | 株式会社ディスカバー・ジャパン Discover Japan 統括編集長 | 岡山県生まれ。 1998年枻出版社入社。 「こんな家に住みたい」、「リアルデザイン」、「北欧スタイル」など建築やインテリア、デザイン系のムックや書籍など幅広いジャンルの出版を手掛けたのち、2008年に日本の魅力を再発見をテーマにした雑誌、Discover Japanを創刊。編集長を務める。 2018年11月に株式会社ディスカバー・ジャパンを設立し、雑誌メディアを軸に、イベントや場づくりのプロデュース、アプリなどのデジタル事業や海外展開など積極的に取り組んでいる。 現在、地域ブランディング協会代表理事、環境省グッドライフアワード実行委員、京ものユースコンペ審査員、高岡市クラフトコンペ審査員、高山市観光経済アドバイザー、経産省や農水省関連のアドバイザーなども務める。 JFN「オーハッピーモーニング」に毎月ゲスト出演中、日本テレビ系列の番組「the SOCIAL」のゲストコメンテーターを務めるなどメディアを超えて、日本の魅力、地方の素晴らしさを発信中。 |
宮崎 守弘 | ミヤザキ食器株式会社 代表取締役 社長 | 1954年、有限会社宮崎常司商店として発足した業務用食器販売会社社長。 2001年3月、M.STYLE ブランドを発表し、2004年ドイツ・フランクフルトメッセ・アンビエンテ出展の年に、海外へのM.STYLE ブランドを発表。 M.STYLEは「盛りつけて美しい器」をコンセプトに、オリジナル商品の製作や、世界各国からセレクトした輸入商品を扱うブランドであり、食材・人・空間などさまざまなものを器でつなぎながら、ひとつの美を完成させ、器に関わるものが生み出していく創造(想像)力を引き出していきたいという思いから生まれた。 テーブルウェアーから、カトラリー、トレー、プレースマットまでトータルコーディネート可能な商材を幅広く豊富に取り揃えられている。 |