ポスターテーマ【新時代を拓く】
最優秀賞
酒井 ここね さん
私は、梅の花をモチーフに選びました。梅は昔から焼き物に描かれてきた歴史ある花だから、有田国際陶磁展のモチーフにぴったりの花だと思いました。花びらにはトンバイ塀をイメージしたデザインを用いました。トンバイ塀は、そのつくり方からSDGsの考えに合ったものだといわれています。古い時代からあるものだけれど、それが「新時代」に非常にマッチしていると思いました。配色は青白磁や赤朽葉苺色などの伝統色をカラフルに使い、個性豊かな作品があつまることを表しました。
優秀賞
井田 千秋里さん
「新時代を拓く」というテーマに沿って新しい道を拓くというイメージで表現しました。左から圧力をかけて新しい道をつくっているという感じで表しました。配色については、レトロな色合いにしつつ和柄と陶器の形がふいに見えるような色合いをデザインにしました。うしろのはだ色のラインは過去の道を表しました。
坂口 琴音さん
「新時代を拓く」というテーマを、右下と左上に配置した焼き物の生地が、ジッパーのようにひらいて、鮮やかな世界が見えるというイメージで表現しました。中央の薄い重なりに見えるのは、釉薬です。釉薬が重なることで新しい時代に塗り変えられています。透明感があるのは、400年の長い歴史から優れた技術を学んで、今の焼き物があるという積み重ねを表すためです。
原田 陽花さん
パズルにした理由は、新時代を拓くには技術や歴史があってこそなので、ピース1つ1つを技術や歴史に見立て、それを組み合わせていくというイメージと若い世代にも興味や愛着がわくようにしたかったので、パズルにしました。パズルの右下部分の形が変わっているのは、昔ながらの型にはまらず自由な思考で進化していくという意味です。パズルの方の色は有田焼のイメージで青、赤、白にし、背景は、紺の後退色、ピンクの進出色の差で奥行きや広がりを出し、もっと多く、広く、世界中の人たちに知ってほしいという意味を込めました。
審査員総評
審査長 山本晃平
今回のテーマは、『新時代を拓く』
有田工業高校デザイン科1年生の初々しくもクオリティの高い作品が多く観られた。
ポスターとしてのデザイン性はもちろんの事、作品のコンセプトがテーマに沿ったものであるかも審査基準として選定を行った。
上位入賞作品は、デザイン性やコンセプトがしっかりとしており、審査員の票を多く獲得していた印象である。
残念ながら入賞を逃した作品にも面白いアイデアの作品が多々あり、構図を少し工夫すればもっと良くなるといった声が審査員の中から上がっていた。
最優秀賞に輝いた作品は、梅の花と有田のトンバイ塀をモチーフとしているが、トンバイ塀は廃材を利用して作られることから、世界的にも注目視されているSDGsの考え方に通じるものがある。『新時代を拓く』ため、過去や現状を見つめ直しつつ、今の時代に沿ったメッセージ性も表現できている点が高評価を得た。
第118回ポスターコンクール審査員
- 有田陶交会 有限会社やま平窯元 山本 晃平
- 佐賀県窯業技術センター専門研究員 江口 佳孝
- 株式会社アルティア 朝重 貴光