第18回は、「岩中(いわなか)窯跡」です。
所在地は有田町岩谷川内二丁目です。史跡には指定されていません。窯体は確認されていませんが、調査地の付近に1基はあったと推測されます。
写真(1): 岩中窯跡出土遺物
発掘調査は、有田町教育委員会が調査主体となり、1998年に行われています。その後、2012年に『岩中窯跡』が有田町教育委員会から刊行されています。
発掘調査では、窯体を発見することができませんでした。しかし、承応2年(1653)の「万御小物成算用帳(よろずおんこものなりさんようちょう)」という記録に岩谷川内山とあり、一時期は前回紹介しました猿川窯と併存していたことがわかっています。出土遺物は、染付や白磁、青磁、鉄釉、瑠璃釉などの碗、鉢、皿、香炉、瓶、壷が出土しています。主に碗と皿を生産していました。推定年代は1630年代~1660年代です。
現在の岩中窯跡は、私有地の宅地や山林となっており草木が生茂っているため、容易に確認することはできません。場所は、国道35号と県道281号の間で蔵春橋近くです。なお、『岩中窯跡』の発掘調査報告書については、有田町歴史民俗資料館にて取り扱っております。(伊)H29.11.2