文字サイズ変更 拡大標準
背景色変更 青黒白

有田の窯跡22 -向ノ原窯跡-

最終更新日:

とても久しぶりの更新になります。第22回は、「向ノ原(むかいのはら)窯跡」です。所在地は有田町戸杓です。史跡には指定されていません。

DSC_1543_1

                 写真(1): 向ノ原窯跡付近

向ノ原窯跡は、有田町教育委員会が調査主体となり、1990年と1994年の2回発掘調査が行われています。その後、1991年に『向ノ原窯・天神山窯・ムクロ谷窯・黒牟田新窯』が、1995年に『小溝上窯・向ノ原窯』が有田町教育委員会より刊行されています。

発掘調査で確認された窯体数は3基で、付近に存在する禅門谷窯跡や一本松窯跡と同じ戸杓地区で唯一複数の窯体が確認されました。1990年の調査で1・2号窯が確認され、1994年に3号窯が確認されました。遺存状態は1号の胴木間は良好でしたが、焼成室は部分的に削平され上部は不明、2号は焚口部分が道路で削平されていますが、焼成室の遺存は良好でした。3号については、大半が宅地造成で消滅しています。

出土遺物は、1・2号窯跡の区別が難しく陶器は灰釉の碗、皿、鉢が出土、磁器は染付の碗・皿・鉢・小杯・瓶が出土し、全体的にやや雑で碗・皿を主体に生産していたと考えられます。3号窯跡も陶器は灰釉のものが出土し、磁器は染付の碗・皿、青磁の小杯、白磁の碗・皿が出土しています。こちらもやや雑で小皿を主体に生産していたと思われます。窯道具はトチン、焼台、ハマ、ボシが出土しています。1号窯の物原最下層から出土した陶器・磁器は砂目積みを確認しました。
出土資料などから1号、2号、3号の順で構築されたと考えられ、推定年代としては1号が1610~1630年代、2号が1620~1630年代、3号が1630~1640年代であることがわかっています。この窯跡の位置する戸杓地区については、古文書や古地図などに窯場に関する記述などは確認されていません。

向ノ原窯跡付近は、私有地内にありますので現地の確認はできません。なお、有田町教育委員会が刊行している報告書については、1991年発行の報告書については在庫がありませんのでご了承ください。1994年発行のものについては、在庫を有田町歴史民俗資料館にて取り扱っております。(伊)H30.2.22

このページに関する
お問い合わせは
(ID:1108)
ページの先頭へ
有田町役場 文化財課

〒844-0001 佐賀県西松浦郡有田町泉山一丁目4番1号

電話番号:0955-43-2678

FAX番号:0955-43-4185

© 2024 Arita Town.