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有田の陶磁史(242)

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 何で様式の説明をダラダラとすることになったのか、もうすでに記憶が定かではありませんが、たしか“古九谷様式”を説明するにはそこから派生するいろんな様式にも触れる必要もあるので、一度様式についてちゃんと説明しとこうと思ったからだったような…。とりあえず、だいたい概要としては説明しましたので、様式については、今日あたりでシメときたいと思います。

 さて、肥前磁器が大人になった証しとしての“古伊万里様式”ですが、いくらその後幕末まで同じ様式が続いた、いや、正確に言えば手数の様式であるという点では、伝統は今でも続いているわけですが、当然ながら、同じものが延々と作られ続けたわけではありません。ようするに、なにがしかの変化があるから、編年ができるわけですから。

シンメトリー、つまり、対称的構図を基本とする手数の様式って点で共通するだけで、文様その他は、時期により刻々と変化しています。もちろん、製品ランクによっても全然違います。

 たとえば下級品の皿などは、“古伊万里様式”とは言っても、裏文様や高台銘はないし、高台幅も狭いし、ハリ支えもしないし、胎土は灰色だし、要素としては“初期伊万里様式”に近いものに後退、いや、これも進化というべきでしょうが、そんなもんに変わってしまいますし。

 南川原山と内山のバトルも相変わらずです。南川原山は、最高級品の産地の宿命として、常に差別化を模索しなければいけません。ところが困ったことに、基本的には、すでに成長期のように新しい様式を生み出すことによって差別化する時代は終わり、あくまでも“古伊万里様式”の範疇での質差で勝負しないといけない時代が訪れたのです。

 ところが、この質差というのがくせ者です。たとえば、現代の“柿右衛門様式”の製品があったとして、それが柿右衛門窯のものかその他の窯元で作られたものかを銘を見ずに判別できる自信がおありでしょうか?もちろん、見慣れた方なら難なく見分けられるんですが、案外多くの方にとっては難しいのではないでしょうか。

 つまり、質差っていうのは、分かる人には分かるんですが、多くの人には様式差のようには簡単には識別できないのです。だったら、差別化してるつもりでも意味をなさないわけでしょ。そうです。南川原山ってこのジレンマに陥ったのです。

 って記していたら、様式の説明最後にするつもりだったんですが、終わりませんでした。でも、今回はここらあたりまでにして、次回様式の説明を終わらせたいと思います。(村)

 

(外面)                     (内面)

まるで“初期伊万里様式”のような“古伊万里様式”の下級品

 

肥前陶磁の様式変遷図

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