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有田の陶磁史(39)

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前回は、砂目積み段階に陶器の生産窯の中で磁器がはじまり、意外かもしれませんが、生産者も同じであることをお話ししました。日本磁器とは、いわば「朝鮮半島の技術で製作された、日本の文化に最適化させた、中国風磁器」と呼べるものなのです。これについては、後日また詳しく触れてみたいと思いますが、とりあえず、本日も前回の続きです。

まず、胎土目積み段階から砂目積み段階への移行ですが、一番変化が分かりやすくて生産量も多い、陶器小皿の例で説明することにします。標準的な窯場では、少し器形は変化するものの、胎土目積み段階と同様に、折縁皿と縁を折らない丸皿がセットとなります。ただ、目は砂目に変化します。折縁皿の場合は、通常、内底周囲に設けられる段差が胎土目積み段階より低いのが特徴です。一方丸皿の場合は、腰部に丸みがなくなり、胴部の立ち上がりが直線的になります。これらの皿は胎土目積み段階には鉄絵を施すものも珍しくありませんが、この段階のものは無文が基本です。ただ、生産地に例外は付き物だと思っていただければ幸いです。いちいち記述はしませんが、試行錯誤の連続なので原則何でもアリ。砂目積みの折縁皿の場合も、小溝上窯跡だけは鉄絵製品のてんこ盛り状態です。

ただ、この砂目積み段階の初頭に当たる様相は、長くは続きません。窯跡の物原にこの移行期の土層がしっかりと堆積するような例はほとんどなく、どちらかと言えば、胎土目積み段階でも最後あたりの土層で、そんな製品が混じって出てくるようになったり、土壙での一括廃棄などで確認できる程度です。何度も言いますが、小溝上窯跡は別ですよ。この窯跡の場合は、胎土目積み段階の製品組成と移行期の組成がバリバリ共伴しますので。前にも書いたかと思いますが、胎土目積み段階の前半期の組成から後半期の組成に変化すると、ほとんど間髪なく、一般的には移行期に見られる組成も現れてきます。

砂目積み段階も胎土目積み段階と同様に前・後の時期に区分できますが、これが、前半期初頭の様相です。ちなみに、この組成の段階では、まだ磁器は出現しません。もっとも、小溝上窯跡に関しては、ちょっとそれっぽいニオイもプンプンですが。(村)H30.5.18

図1a_1図1b_1
図1a 胎土目積み折縁皿(内面)1b(外面)
図2a_1図2b_1
図2a 胎土目積み丸皿(内面)2b(外面)
図3a_1図3b_1
図3a 砂目積み折縁皿(内面)3b(外面)
図4a_1図4b_1
図4a 砂目積み丸皿(内面)4b(外面)

 

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