第30回は、「黒牟田新(くろむたしん)窯跡」です。
所在地は有田町黒牟田です。史跡には指定されていません。
黒牟田新窯跡
黒牟田新窯跡は、有田町教育委員会が調査主体となり、1990年度に発掘調査が行われています。その後、1991年に『向ノ原窯・天神山窯・ムクロ谷窯・黒牟田新窯』-町内古窯跡群詳細分布調査報告書第4集-が有田町教育委員会より刊行されています。
発掘調査で確認された窯体数は1基で、焼成室は良好な遺存状態で8室が出てきましたが、胴木間部については宅地造成等で壊滅していると考えられます。
出土遺物は、磁器の染付、白磁、青磁、染付青磁が出土しています。比較的に大皿などの大形の製品が目立ちます。窯道具はトチン、ハマ、オオヌケ、焼台、ボシが出土しており、大形の製品を製作していたこともあり、窯道具も大形のものがみられました。黒牟田新窯は、記述や古地図にも記載があり、文化11年(1814)の記録ありませんが、安政6年(1859)の絵図には9室程、元治元年(1864)には10室程度、明治9年(1876)の記録には黒牟田窯と記載があり、また、調査前の聞取り調査で大正初期まで操業していたことがわかっています。年代については、出土資料や文献等の資料から1820-40年代~大正5年(1916)であることがわかっています。
黒牟田新窯跡には、標柱、説明陶板が立っていますので見学はできますが、私有地内にあります。現地を訪れるのであれば、了承を得てから現地を訪れてください。また、窯跡は現在も表面に露出していますので、よくわかると思います。(伊)H30.6.21