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有田の陶磁史(214)

最終更新日:

 担当日が祝日でしたので一週間飛んでしまいましたが、前回は、肥前磁器の種類分けは、大正から昭和初期にはじまったという話をしてたところでした。続きです。

最初は、“古九谷”、“柿右衛門”、“古伊万里”、“鍋島”に分類され、まだ当時は“初期伊万里”という区分はありませんでした。前回、この名称にはまるで意味なしって話をしましたが、実は、おっとどっこい、この昭和初期頃の分類名称にはちゃんと意味があったのです。「???」でしょうか?

 というのは、名称の後ろに「様式」という言葉がくっついてないのに気づかれたでしょうか。そうなんです。この頃の分類には、後ろに「様式」という語は付かないのが正解なんです。でも、今でも「様式」は付けずに“古九谷”とか“柿右衛門”とか呼ばれることも珍しくないじゃん、って突っ込みもあろうかと思います。確かにおっしゃるとおりです。でも、昭和初期までのはほんまもんの「様式」の付かない名称ですが、現在の名称は本来「様式」を付けるべきところを省略してるだけなのです。だって、「様式」ってない方が名称としてスマートでしょ。だから、付いてなくても様式の意味だと捉えないといけないということです。何だか、だんだんチンプンカンプンになってきたかもしれませんね。「様式」の付く、付かないの違いって何なのよって感じでしょうか。

「様式」を英語にすると、「スタイル(Style)」と訳せます。今の日本人だと、「様式」よりも「スタイル」の方が感覚的に分かりやすいかもしれませんね。つまり、「様式」が付く方は、絵付やら各種技法などの違いによる、製品のスタイルによる分類だということです。製品のスタイル名ですね。それ以上でも、それ以下でもありませんので、前回、様式の前に付けられた名前に意味はないと言ったわけです。

 まだ分かりにくいでしょうか?たとえば、“柿右衛門様式”は、分解すると“柿右衛門+様式”ということになりますが、この場合、あくまでも“柿右衛門”という名称で区分されている“様式”の製品ということであって、別に酒井田柿右衛門家とは関係ないということです。いや、実際には結果的に関係はあるかもしれませんが、単純に類似した特徴を持つ製品群のスタイル名称ですから、どこでとか、誰が作ったかということは、そもそも分類基準には含まれません。何度も言いますが、ごくシンプルに製品のスタイルだけを基準にした分け方ということです。ですから、“柿右衛門”という意味ありげな名称が付いているからと言って、そっちに引っ張られてはいけないのです。

 ということで、まだ先は長いので、本日はここまでにしときます。(村)

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