先週、佐賀市で開催されたニューイヤーコンサートに行ってきました。お正月にはNHK・BS放送で本場ウィーン楽友協会の大ホールで開催されたニューイヤーコンサートも放映されていました。今年は日墺友好修好150周年ということで、演奏の間にはウィーン各地に残る日本庭園が紹介されていました。
明治6年(1873)にウィーン万国博覧会が開催され、有田焼が出品されて、さらには有田・大樽の川原忠次郎さんが伝習生の一人として渡欧していますが、その前から両国の外交は始まっていたのですね。
ところで、有田の方はご存知だと思いますが、有田町の伝統的な床の間の正月飾りに「蓬莱台」あるいは「お手かけ盛り」と称されるものがあります。長崎でもある風習のようですが、三方に奉書を敷き、ウラジロ、ユズリハ、昆布をたらし、その上に九合九勺の米を盛り、さらにその上に葉付きの橙、根がたくさん伸びているトコロ(ヤマイモ科のつる性多年草)、白紙で包んだ木炭、芽が出たヤツガシラ(サトイモの一種)と栗を8個。これらの飾り方は家庭によっても少しずつ異なる点もありますが、それぞれに意味があります。例えば、九合九勺の米は一升の米を飾るというお宅もありますが、満れば欠けるとか、あと少し足せば目標を達成するなどの意味から、一升に少し足りない米を準備するというお宅もあります。
橙、炭、トコロは「代々住むところ」をかけていて、栗は勝ち栗、そしてヤツガシラは人生のおいても芽が出るということで、より大きな芽が出たものを準備されるのが常でしたが、これまで年末に頼んでいたお店が閉店になって、今年は小さいものしか購入できなかったという話を伺いました。こういうところからも伝統が危うくなっていうのかもしれませんね。(尾)H31.1.15
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「蓬莱台」 |