新たに国の重要文化財に指定された西洋館ですが、長い間、「異人館」として親しまれ、昭和52年(1977)に佐賀県の重要文化財に指定されていた建物です。今回、国指定となった段階で、名称が改まりました。
明治9年(1876)、田代助作によって建築以来、代々田代家で守ってこられたことから、「旧田代家」という表記が入り、住まいではなく、海外からの来訪者をもてなす建物である意味合いから西洋館となりました。
今回、国の重要文化財に指定を受けたことを記念して、子孫の田代佐夫子さん(田代家子孫で佐世保市在住)が中心となって、11回目となった恒例の「町屋で昔話を聞く会」終了後に、西洋館の二階で子ども達にお点前の披露をしていただきました。
本格的なお茶の体験は初めてという子どもたちもいて、会場となった「旧田代家西洋館」の2階は緊張した雰囲気で始まりました。せっかくだからと、電気の風炉を持ち込んでお点前を披露していただきました。懐紙の上には季節を表現したきれいな主菓子「咲き分け」や干菓子「うぶいす」などに、子どもたちは大喜び。
実は西洋館は文化財ということで、水回りや火の気のあるものは全く準備されていません。
しかしながら、明治9年のころにはストーブもファンヒーターもない時代で、当時の冬の寒さも体感してもらったのではないかと思います。
今回のお点前には、佐世保市から中島百合子さん、佐賀市から友田ヒサエさん、有田町内の松尾シズ子さん、長島昭子さん、木原恭子さん等のご協力を得ました。日本の伝統を子どもたちに伝えたいという思いの田代さんたちのご協力で「旧田代家西洋館」の国重要文化財指定祝賀行事の一つとして開催できました。「ひこうせん」の皆様、田代さんとその関係者に心からお礼申し上げます。(尾)H31.2.18