久しぶりに再開です。第34回は、「清六ノ辻1号(せいろくのつじいちごう)窯跡」です。
所在地は有田町南原です。史跡には指定されていません。
清六ノ辻1号窯跡
清六ノ辻1号窯跡は、1987年に有田町教育委員会が調査主体となり、発掘調査が行われています。その後、1988年に『小溝中窯・小溝下窯・清六ノ辻1号窯・清六ノ辻大師堂横窯』が有田町教育委員会より刊行されています。
発掘調査で確認された窯体は1基で、上部と考えられる3室を確認できましたが、遺存状態は悪く、下部に至っては鉄道敷設により破壊されていました。物原も東側に確認できたものの、こちらについても大半が削平され、攪乱を受けており、遺存状態は悪いです。
遺物は、陶器が主体で磁器が少し出土しています。陶器は灰釉の碗、皿、小杯、火入れ、片口鉢、鉄釉の碗、皿、片口鉢、壺、甕、火入れ、すり鉢、灰釉・鉄釉掛分け碗と皿が出土しており、灰釉・鉄釉掛分けは清六ノ辻の窯場で特徴的なものです。磁器は染付の碗、皿、瓶、辰砂の碗が出土しています。窯道具のハマは基本的に円板形で、トチン、ボシ焼台が確認できています。陶器の大形製品の一部に胎土目積みがあるほかは、砂目積みであることが確認できています。
出土した遺物等から、1610年代~1630年代の操業と推測されます。
清六ノ辻1号窯跡の付近には、次回以降ご紹介する予定の清六ノ辻2号窯跡や清六ノ辻大師堂横窯跡が所在しています。いずれも近くには説明陶板が建っていますが、消防署の裏や私有地、線路脇にありますので、現地を訪れる場合は十分に気をつけてください。
なお、有田町教育委員会発行の発掘調査報告書については、有田町歴史民俗資料館において取り扱っておりますので、お問い合わせください。
(伊)H31.4.11