第37回は、「小物成(こもんなり)窯跡」です。
所在地は有田町南山です。史跡には指定されていません。
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小物成窯跡 |
小物成窯跡は、1986年度、1992年度、1995年度に有田町教育委員会が調査主体となり、発掘調査が行われています。その後、1993年に『小物成窯・平床窯・掛の谷窯』が、1996年に『天神森窯・小物成窯』が有田町教育委員会より刊行されています。
発掘調査では、2基の窯体が発見されていますが、物原を確認したところ3基存在していた可能性があります。1号窯はほとんどが畑の整地の際に削平されており、部分的に確認できる程度で、2号窯も耕作等で削平はされているものの、おおむね遺存していました。
遺物は、1号窯では陶器よりも磁器がやや多く、陶器は灰釉の碗・皿・鉢・小杯・火入れ・片口鉢、鉄釉のすり鉢・甕が出土、磁器は、染付の碗・皿・小杯・鉢が出土しています。窯道具は、ハマが円板形、ボシはロクロ成形、胎土目積みがわずかに確認されています。陶器は原則砂目積みで、磁器皿にも砂目積みが確認されました。2号窯は、1号窯に比べると陶器の割合が多く、物原層では下層で胎土目積み、上層は砂目積みで、上層から磁器が出土しています。陶器は灰釉の碗・皿・小杯・香炉・片口鉢・すり鉢、鉄釉の瓶、磁器は染付の碗・皿、白磁の小杯、青磁の碗が出土しています。『今村氏文書』に残された記述から「南川原山」の窯場の可能性があります。遺物等から、1600年代~1630年代の操業と推測されます。
小物成窯跡の付近には、次回以降紹介予定の天神森窯跡や平床窯跡、南川原窯ノ辻窯跡など南川原山の窯場が所在しています。いずれも近くには説明陶板が建っており、公園になっている場所もありますが私有地もあり、現在草木も生茂り、蛇や蜂、マダニも出てきますので、現地を訪れる場合は十分に気をつけてください。
なお、1996年に有田町教育委員会発行の発掘調査報告書については、有田町歴史民俗資料館において取り扱っておりますので、お問い合わせください。
(伊)R1.5.23