第42回は、「ムクロ谷(むくろだに)窯跡」です。
所在地は有田町南山です。史跡には指定されていません。
|
ムクロ谷窯跡遠景 |
ムクロ谷窯跡は、1990年度に有田町教育委員会が調査主体となり、発掘調査が行われています。その後、1991年に『向ノ原窯・天神山窯・ムクロ谷窯・黒牟田新窯』が刊行されています。
発掘調査では、少なくとも1基の窯体が確認されています。窯本体は林道を建設する際に破壊されているようですが、比較的良好に遺存しています。
出土した遺物は、磁器の染付の碗・皿・鉢・向付・蓋物・瓶、白磁は皿・鉢、染付青磁は皿、青磁が皿、薄瑠璃釉掛分けの皿が出土しています。物原の出土から上層付近では皿類を主体に生産していたとみられ、下層付近では瓶類を比較的多く生産していました。製品は上質なものと雑なものが混在しています。出土した遺物から1680年代~1740年代までの操業と推測されます。
ムクロ谷窯跡は、私有地にあり、山の中ですので現地に行く際は十分に気を付けてください。また、今の時期は、草なども生い茂っているので、害虫等にも気を付けてください。なお、有田町教育委員会が刊行している報告書については、現在在庫がありませんのでご了承ください。
(伊)R1.7.25