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令和元年度新寄贈品の紹介 3 ~シカゴ万国博覧会関連資料(1)

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 しばらく空きましたが、今日は今年度寄贈の資料についてご紹介したいと思います。前回の内国勧業博覧会の褒状も今回紹介する予定の資料も、黒牟田の窯焼き福島幸次郎の子孫の方からご寄贈いただいたもので、資料総数は文書23点、焼き物資料80件128点とたくさんありましたので、整理作業にかなり時間を有しました。しかし、なかなか面白い資料が出てきました。

 

福島幸次郎は明治9年(1876)の陶業盟約にも黒牟田の窯焼きとして名前が残っており、また明治期23年から端を発する泉山磁石場の所有権騒動「石場騒動」にも、新村(現在の有田町東地区の一部)の窯焼きとして動いており、いわゆる「外山」と呼ばれていた地区を代表する有力な窯焼きだったと思われます。

 

 今回からご紹介するのは、佐賀県内務部より福島家に送られたシカゴ万国博覧会に関する文書です。その前に、シカゴ万博についてまずご紹介します。

 

 シカゴ万国博覧会は明治26年(1893)5月1日~10月3日に、アメリカ イリノイ州シカゴにて実施された万国博覧会で、別名コロンブス世界博覧会とも言われました。「コロンブス」を漢字で表記して「閣龍」と書くこともあります。日本政府は国内産業発展のため積極的に参加するよう奨励し、補助金を交付しています。当館に精磁会社の博覧会出品願いと補助願い(受理印あり)の文書が残されています。明治24年(1891)には民間から博覧会経験者を評議員に嘱託し、佐賀県からは精磁会社の深海竹治が就任しました。

 

DSC_0192 掲載

シカゴ万国博覧会補助願い(館蔵:百田家文書より)

 

 さて、この補助金に関して、この福島家の資料の中に「博覧会出品補助出願人名簿」と「明治弐拾五年度地方税支出予算追加議案」「明治弐拾五年度地方税支出予算追加議案 参考資料」が出てきました。どうやらシカゴまでの渡航費の補助に充当しようとしたもののようです。

 

ちなみに『海外博覧會本邦参同史料 第4輯』(昭和4年(1929)3月発行)にシカゴ万国博覧会の出品費補助の件について記載されており、それによると、出品補助とは横浜神戸両港から会場への往復運賃、保険料、保管料といった、主に出品品にかかった費用に対して支出された補助のようです。渡航費については費用が膨大になるため博覧会事務局が適任者(渡航委員)を選択し手当金を支給したとし、さらに出品者全員が渡米することはできないから、委託や周旋を引き受けるために組織した諸団体(出品協会)が起こったこと、そういった諸々の処理をすべく渡航した人物名を挙げています。有田の関係者としては「東京府(認可済)閣龍博覧会中央協会」の深川忠次の名が見られます。また渡航委員として西有田出身の松尾寛三(明治27年(1894)に西松浦郡初の衆議院議員に当選した人物)も渡航しています。

 

というところで長くなったので肝心の福島家資料の中身についてはまた次回。 (永)R1.8.7

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