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博物館実習を終えて

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有田町歴史民俗資料館では、このたび16年ぶりに博物館実習生を迎えました。

そこで、私たちの仕事の一つである、この「泉山日録」への執筆も体験してもらいました。

以下は、博物館実習生のブログです。

 

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はじめまして、こんにちは。

8月19日から8月23日の5日間、有田町歴史民俗資料館で学芸員実習をさせていただきました、山口と申します。

今回は、この5日間で経験したこと、感じたことを書いていこうと思います。

 

今回の実習で一番苦労したことは、展示の企画書作成でした。

自分で展示の構成を考え、展示の意図や見てほしい点、ターゲットを明確にしていき、企画書の中に文章として表すことは、頭の中では分かっていてもとても難しかったです。展示を一つするのにも大変な苦労があるんだと知ることができました。何度も何度も書き直し、行き詰まると、その度に学芸員の方々が的確なアドバイスやヒントを示してくださいました。

展示品として用意された題材は、夏休みに小学生が歴史の川ざらいで見つけた「ベンジャラ」と呼ばれている陶片でした。

私は有田で育ちましたが、「ベンジャラ」という言葉を初めて聞き、陶片だとは想像もつきませんでした。『有田皿山の方言』という文献には「べんじゃらぎれ」と記されていました。文献には、「磁器の破片を「べんじゃらぎれ」という。江戸前期から中期の古窯趾から、紅皿が出土する。その他の出土磁片はおびただしいが、これを総称して「べんじゃらぎれ」という。」と書かれています。このことから、紅皿の破片を「べんじゃらぎれ」と呼んでいたことがわかります。おそらく、長い歴史の中で「ぎれ」がとれて、陶片を「べんじゃら」と呼ぶようになったのではと考えられます。なぜそれが川にあるのかを話を聞くと、周辺の窯跡から流れ込んだものや、捨てられたものだそうです。作られた当時はいらないものでも今では貴重な文化財になっており、有田焼の歴史を解明するのに役立っていることが分かりました。

 

IMG_8423-2

たくさん見つけていました。

 

事前に有田焼の時代背景やベンジャラについて学び、どんな原型をしていたのか推測しながら陶片を見つけていくのは楽しそうだなと思いました。私も小学生だったら参加してみたかったです。

 

また、今回の実習では、注記という作業を体験させていただきました。注記とは、陶片がいつ・どの場所から出土したかを記録するために行われます。陶片の割れ目部分に筆と墨を使い、採取場所・採取年度を書きます。割れた狭い場所に文字を書くと知ったときは驚きで開いた口がふさがりませんでした。手本として見せてもらったものは、ペンで書いてあるかのように細く、読みやすい字でした。

もともと不器用で筆を8年ぶりに持った私はまずは紙に文字を書いて練習するところで手間を取ってしまい、いざ陶片に書いてみても何とか読める程度の仕上がりでした。慣れはもちろんあると思いますが、細く、読みやすい文字を書くことができる学芸員の方々はやはりプロだな、と感じました。

 

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実際に私が書いた注記(左)とお手本(右)、私が書いたのは極太の文字です。

 

この5日間は長いようで短く、あっという間に実習期間は終わってしまいました。

地元のことをもっと知りたいと思い選んだ有田町歴史民俗資料館での実習は、多くのことを学ばせていただき、体験をさせていただきました。実習を受け入れてくださり、丁寧にご指導してくださった有田町歴史民俗資料館の皆さま、充実した5日間をありがとうございました。R1.8.26

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