9月9日と13日、佐賀大学有田キャンパスで開催されているICCROM イクロムの夏季セミナーで、文化財課職員が町の文化財の案内をしました。
ICCROM イクロムとは、国際文化財保存修復センターのことで、ユネスコにより1959年に設立されました。文化財の保存・修復に関する研究の促進、助言・勧告の付与、研究者・技術者の養成等の活動を通し、世界の文化財保存修復の水準向上をはかる国際機関です。
今回のセミナーは、「文化財の保存と科学のためのコミュニケーションと教育スキル」と題して、文化財の保護に携わる専門家のコミュニケーションを向上させ、様々な手法を取り入れた教育法を学びます。国籍も分野も異なる文化財保存の専門家が文化財保護教育という課題を共有することで、国際的なネットワークを構築することも意図しているそうです。セミナー自体は、9月9日~20日まで佐賀大学有田キャンパスで開催され、出身国の異なる16名に佐賀県特別枠の3名を加えた19名が参加しました。
今回のセミナーの開催地として有田が選ばれたのは、有形・無形文化財、伝統的建造物群保存地区等の文化財の宝庫で、それが1つの町としてコンパクトにまとまっているからだそうです。また、今回のセミナーは、ICCROM イクロムのある本部ローマを離れて実施される初の海外開催とのことです。
9月9日のセミナー1日目では、当館館長が町の文化財の案内をしました。今回案内した文化財は、天狗谷窯跡、旧田代家西洋館、有田陶磁美術館、トンバイ塀を含む伝統的建造物群保存地区、陶山神社です。解説を聞きながら、有田独特の町並みを楽しんでおられるようでした。
案内の様子
そして、セミナーの中日である9月13日は当館にお越しいただきました。案内をしたのは、泉山磁石場、出土文化財管理センター、有田町歴史民俗資料館の3か所です。発掘調査で出土した陶片等の整理を行う出土文化財管理センターの見学では、みなさん文化財の保存修復の専門家だけあって、とても熱心に解説を聞いていました。整理作業に従事しているスタッフの人数など、様々な質問が出ました。
泉山磁石場と当館の案内の様子
今回のセミナーに参加した方々は、有田をとても気に入ったようで家族を連れてまた来たいとおっしゃっていました。とても喜ばしいことです。ぜひ、また有田に来ていただいて、資料館にも足を延ばしていただけたら嬉しいです。(宮)R1.9.17