1月26日(日曜日)、佐賀県立九州陶磁文化館において文化財防火デーを実施しました。雨続きの天気で開催できるか心配でしたが、無事実施することができました。
文化財防火デーは、昭和24年1月26日に現存する世界最古の木造建造物である法隆寺の金堂が炎上し、壁画が焼損したことに基づいています。この火災がきっかけとなり、当時の文化財保護委員会(現在の文化庁)と国家消防本部(現在の消防庁)が、法隆寺金堂が焼損した日である1月26日を「文化財防火デー」と定め、文化財を火災、震災その他の災害から守るとともに、全国的に文化財防火運動を展開しています。昭和30年から始まった文化財防火デーは今年で66回目を迎え、全国で防火訓練等が実施されました。テレビのニュース番組等で、その様子をご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。
今年の文化財防火デーは、有田町・有田町教育委員会主催、有田消防署・佐賀県立九州陶磁文化館の共催で実施されました。また、有田消防団・5区の皆様・れきみん応援団の方々にもご協力いただきました。今回文化財防火―デーを実施した九州陶磁文化館は、国の登録有形文化財である柴田夫妻コレクションをはじめ、国重要文化財2点、県重要文化財9点を所蔵しています。このような有田町にとってかけがえのない貴重な文化財が所蔵されているため、平素からの防火体制の整備や強化を目的として実施しました。
訓練の内容は、九州陶磁文化館1階の陶芸実習室での出火を想定し、初期消火訓練や通報訓練、避難誘導訓練と重要文化財の搬出訓練を実施。通報によって駆け付けた有田消防署と有田町消防団が放水訓練を行いました。
避難誘導訓練と放水訓練の様子
その後、参加者の皆さんと一緒に消防署の方の指導のもと消火器取り扱い訓練を行いました。初めに消火の手順の説明があり、逃げ道を確保しつつ火災の起きている場所に近づき、火の根元をほうきで掃くように薬剤をまくよう指導がありました。今回の訓練で用いた消火器は、訓練用の水が出るものでしたが、訓練に用いた大きさの薬剤が出る消火器は30秒ほどしか薬剤が出ないそうです。ですので、消火の際は、火に近づいてから黄色の安全ピンを外し、消火をするように指導がありました。また、自分の背丈よりも炎が高い場合や、天井に達している場合は、消火器で消火するのは困難なので、あきらめて非難するようにとのことでした。消火器を使っての訓練は、参加者の皆様にも役に立ったと思います。
消火器取り扱い訓練の様子
訓練の後は、九州陶磁文化館で収蔵している指定文化財を中心とした古陶磁について展示解説をしていただきました。現在は、県指定文化財である「染付山水文水指」と「色絵群馬文変形皿」が展示されていましたので、2点を中心に解説していただきました。その他にも、九州陶磁文化館には国の登録文化財である「柴田夫妻コレクション」が常設展示されていますので、有田町の貴重な文化財をぜひご見学いただければと思います。
今年度は、昨年4月に起きたフランスのノートルダム大聖堂の火災や、昨年10月に起きた首里城の火災など、貴重な文化財が火災によって焼損する事件が相次ぎました。これ以上の被害を出さないためにも、今回の訓練を活かしていきたいと思います。皆様方におかれましても、1月、2月は1年の内で火災が発生しやすい時期に当たるそうなので、火の取り扱いには十分お気を付けください。(宮)R2.2.4