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令和元年度新寄贈品の紹介 8 ~シカゴ万国博覧会関連資料(6)

最終更新日:

ようやく渡航費内訳に入りたいと思います。

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まず、4,500円のうち、60円76銭が佐賀から東京・横浜への往復旅費、東京・横浜での40日間の滞在費が24円、雑費が37円76銭4厘、合計122円52銭4厘。先週の現代金額への換算数値のうち、企業物価指数の1円=1,515円で考えると、現代と変わらなさすぎて若干安い気がしますが、1円=1、2万円と考えるといくらなんでも高すぎる気がします。もしかしてこれは出品品を一緒に運んでいるためかもしれません。というのも後述しますが荷解き代などが加算されているからです。さらにこの時代、まだ鉄道は全線開通していませんので、船で行ったのでしょうかね?

次に渡航費300円。これは横浜からサンフランシスコへの往復分で、太平洋汽船会社の往復割引を適用したそうです。残念ながら、太平洋汽船会社については同名の会社が現在あるようですが、関連性があるのかよくわかりません。

 

残りの4,077円67銭6厘がアメリカについてからの費用になります。まずサンフランシスコからシカゴまで往復汽車賃70円と寝台代金30円、賄料24円。明治9年に同じく米国で開催されたフィラデルフィア万博の際、サンフランシスコからフィラデルフィアまで貨車で8日ほどかかったという記録がありますが、シカゴはフィラデルフィアよりも少し近いうえ、十数年時がたっていますので、もう少し少ない日数ではないかと思われます。それにしても寝台代金と賄料の金額が高いような気もします。

次に会場への運搬費及び荷解き代として1トンにつき3円の割合で、95トン2合7勺分の286円89銭を計上しています。これは、前々回に紹介した佐賀県の出品総量約163トンのうち、深川栄左衛門の出品65トン2合7尺を除いた残りの分です。尺貫法と混在していますが、これは原文のままです。さらに会場陳列費として、1トンにつき1円の割合で95円63銭を計上しています。

この部分を読む限り、どうやら出品品の荷物と一緒に渡航しているようですね。最初の日本国内分の経費も、荷物込みと考えたほうが良さそうです。

 

次に出品人総代1名の4月から11月までの8か月間の給料が加算されます。1日3円の計算で合計1,200円(月給150円)です。よかったですね!ただ働きではありませんでした!先日の「明治・大正・昭和値段の風俗史」(朝日新聞社発行)では、明治24年の巡査の初任給(月給)が9円、明治43年の総理大臣の月給が1,000円ですので、結構な好待遇ではないでしょうか。仕事内容も大変そうですが。

続いて出品人総代のシカゴ滞在中の諸経費、主に電信代、郵便代に350円、帳簿、筆、墨の雑費に50円計上しています。だんだんザルな計算になってきましたね。ところで筆や墨ってシカゴで手に入るんでしょうか?インクと万年筆?

さらに出品総代人のシカゴ滞在中の交際費として、1か月20円×8か月分として150円計上されています。ところで出品総代人はいつから出発するのでしょう?内訳から見ると東京滞在中は無給のようですし、アメリカについてから給与と交際費が発生しているとすると、汽車内の賄費が重複で計上されている気がしますが…。

最後に、売れ残った出品品の片づけ費として、1トン3円強の割合で47トン5合くらい売れ残った積りで150円を計上しています。強気なのか弱気なのか分かりませんが、半分は売れ残る前提のようです。

 

ここまでで総合計3,136円52銭ですが、その後にこのように記述してあります。「計金三千百三十六円五十二銭、右、銀貨二換算、金四千七十七円四十七銭六厘、但、米金一円ハ銀貨一円三十銭二積算。」おそらく、相場の変動に伴う為替差損を表しているものと思われます。よって合計が4,077円47銭6厘。これに最初の日本国内の費用を足して総合計4,500円になりました。

 

以上、4,500円の内訳でしたが、あやふやだったり、ザル計算していたりとかなり面白かったですし、当時の経路だとか、旅程の日数だとかいろんなことが考えさせられました。

 

この資料は最初に書いた通り「地方税追加議案」です。果たしてこの内容が議決し、総代人が選ばれて渡航したかどうかは、この資料からはわかりません。

結論から言うとシカゴ万博に渡航しているのは、R1.8.7付の私のブログ「令和元年度新寄贈品の紹介 3 ~シカゴ万国博覧会関連資料(1)」でも書いているように、「東京府(認可済)閣龍博覧会中央協会」から深川忠次、渡航委員として西有田出身の松尾寛三のみで、「佐賀県出品協会」のような組織名から渡航した人物は記録されていません。

 

あまりに高額なので予算が通らなかったのか、それともあまりにザル計算なので通らなかったのか、それとも深川忠次に全部お願いしたのか、いや渡航したけれど『海外博覧會本邦参同史料』に乗っていないのか、真相は不明ですが、本当にとても面白い資料でした。

 

長きにわたって紹介したシカゴ万国博覧会関連資料については、これでいったん終了したいと思います。(永)R2.2.5

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