有田町内山地区にある陶山神社には、磁器製の鳥居があります。この鳥居は、明治21年(1888)に神事の当番町であった稗古場町が奉納したもので、国登録有形文化財になっています。建てられて約130年経つ鳥居は、一部が欠けたり、ひびが入ったりしていました。痛みの目立ち始めた鳥居を修復しようと地元の有志の方が立ち上がり、「磁器製鳥居修復準備委員会」を立ち上げ、広く寄付を募りました。その結果、多くの寄付が集まり、今年1月から修復作業を始め、3月からは現地にて修復作業を進めています。修復作業をされているのは、文化財の複製・復元・修復事業等を行っている「株式会社スタジオ三十三」様です。今回のブログでは、修復を行っている個所について紹介をしたいと思います。
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修復前の陶山神社 磁器製鳥居(八尋様ご提供) |
修復は、国の登録有形文化財に登録された当時の姿に戻すことを目的として行われています。今回修復を行っている個所は、落下の危険性があり緊急を要する個所で、大きく分けて、島木、貫、神額の3か所です。3か所の修復前の状況を磁器製鳥居修復準備委員会事務局の八尋様よりご提供いただきました写真で、ご紹介したいと思います。
島木は、写真のように一部部材が割れてはがれてしまっています。また、大きくひびが入っており、部材がはがれそうになっています。今回の修復では、はがれてしまった破片部材の接着と、ひび割れの補修を行います。
修復する島木部分(修復前)
貫は、部材がはがれ落ちてしまっています。今回は、はがれた部材を接着します。
修復する貫部分(修復前)
神額は、下の部分が割れて欠けてしまっています。今回の修復は、欠けてしまった部材を接着して、再度の割れと脱落を防ぎます。
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修復する神額(修復前) |
貫の部材と神額は、株式会社スタジオ三十三のある京都にて破片部材の接着を行い、鳥居本体に取り付けることになっています。接着を行う破片は、神社で大切に保管されていたもので、新しく作り直すわけではありません。また、島木は、現地で修復作業を行っており、足場を組んで作業をされています。さらに、3か所の修復に加えて、鳥居全体を可能な限りクリーニングをしています。
今回の修復作業で、鳥居はどのようになったのか。次回のブログでは、修復後の鳥居についてお伝えしたいと思います。(宮)R2.3.17