令和2年度に入っていますが、元年度の寄贈資料の紹介をあと少ししたいと思います。とにかく最近は寄贈資料の申し込みが多いです。令和元年度中にお預かりした資料は、かなり大物が多かったため、まだ調査が完了していないものもあります。調査しないと、目録の番号と資料の名前を付けられませんので、所有者の方には今しばらくお待ちいただいているところです。令和元年度の寄贈・移管については15件で、館報126号でも紹介しています。因みに令和2年8月現在ですでに5件(点数ではありません)の寄贈申し込みがあっており、令和2年度も資料整理に追われそうです。
今から紹介する資料は、昨年の夏ごろお預かりしたもので、斎藤秋圃の資料です。当館は斎藤秋圃の作として、以前にご寄贈頂いた六曲一双の「四季耕作図屏風」と「群鹿図屏風」を収蔵していましたが、このたび新しく二件の斎藤秋圃作の資料をご寄贈頂きました。
斎藤秋圃に関しては、館報110号、120号、123号をご覧ください。
一件は「歳徳神」の軸装です。歳徳神は「としとくじん」と読み、つまり、年(歳)神さまです。この年一年の福徳を司る神様で、暦や農耕の神様でもあります。ご寄贈頂いた方からは、毎年正月に自宅の床の間に掛けて、家族でお祀りをしていた話を伺いました。
最近はお正月に年神さまの軸装などを掲げて、お祀りするご家庭は少なくなったのではないでしょうか。寄贈頂いた軸装に描かれている年神さまは、杖を持った老人の姿で、豊穣や子孫繁栄を象徴する石榴の実を捧げ持ち、杖に結び付けられている巻物は暦でしょうか、ちょっと分かりませんがとても愛嬌のあるお顔をされていますね。
斎藤秋圃はとても人気のある絵師だったそうで、大切な、年を迎えるための神様を描いてもらったのでしょう。
次回はもう一件の秋圃作品を紹介します。(永)R2.8.13