文字サイズ変更 拡大標準
背景色変更 青黒白

有田の陶磁史(300)

最終更新日:

 いや~、恐ろしいことに、今年も残すとこあとひと月ですね。歳取ると恐ろしく早い、早い…。ついでに、この有田の陶磁史特集も、気付けば今回で300回目です。よく300回も書くことあるな~なんて思いつつも、まだ古九谷時代をやってるんですから、そりゃ進まないはずで…。たしか、古九谷の話をはじめたのは昨年の秋くらいなので、何と1年以上足踏み状態なんですね。でも、今年中には何とか前に進めたいけど、進むかな~??いずれにしても、有田焼400年の歴史はまだまだ先が長そうな予感…。

 

 さて、それは置いといて本題に入りますが、前回までで、やっと古九谷様式の青手の話が終わったところでした。本日からは、残った白磁を素地とする山辺田窯跡を中心とする五彩手の話をしてみたいと思います。

 まず、山辺田窯跡で、こうした白磁素地の五彩手がいつ出てくるかってことですが、前に青手のところで、古九谷は一般的には前期、中期、後期の3期分類が知られているって話をしました。そう言えば、その時、たしか出典を示してなかったですね。(大橋康二「肥前の色絵磁器 - 江戸前期を中心として - 」『東洋陶磁』VOL.20・21 東洋陶磁学会 1993)です。これによると、前期は高台内に二重圏線を入れる五彩手や祥瑞手のタイプで、年代的には1640~50年代とされています。中期は外面に雲気文を描くような、ここでは仮にAタイプとして説明した青手とか、これからお話しする白磁素地の五彩手などとされ、年代的には1650年代。後期はここではBタイプとした外面を唐草で埋めるような青手で、1655~60年代とされています。つまり、古九谷様式の五彩手は中期までで、後期は青手だけになってしまうってことですね。ですから、これからお話しする白磁素地の五彩手は、1650年代の製品ってことになります。それから、後期はこないだも少し触れましたが、赤絵町の成立後ということです。

 ただ、別にここではその一般的な説の解説をしてるわけじゃないのは、これまでの記事に目を通していただいた方ならお分かりかと思います。思いっきり妄想です。青手のBタイプの一部は中期にはあるし、もしかしたら前期まで遡るタイプもアリってことですからね。それに、中期も後期もほぼ年代差はなく、全部1650年代前半頃までにギュギュッと押し込んで、赤絵町では古九谷様式の大皿なんぞは生産してないでしょって意見ですしね。それに、青手のAタイプとBタイプの違いは生産時期じゃなくて、主に主力となる生産窯の差ということもお話ししました。いや、別に信じろとは言いません。個人的な妄想です。

 まあ、ここでの説は、青手は1640年代末頃までは遡るだろうって意見ですので、普通に考えれば同じ白磁素地を使う五彩手も同じ頃って考えるのが自然でしょうね。これから説明していきますが、青手も五彩手も成立の可能性のある上限と下限の年代幅がごく狭いですから、ほぼ同じ頃にしかならないです。そもそも白磁の色絵素地自体が、楠木谷窯跡を中核とする南京赤絵系の技術で成立したもんですから。つまり、例の酒井田喜三右衛門が、正保4年(1647)に長崎ではじめて売ったってやつです。やっと完成したピカピカの新商品を、売りもせずにほっとくやつはいませんから、だいたい白磁自体この時期に完成したと考えて間違いないでしょう。

 そうすると、それが有田の他の地区の窯場に伝わるわけですが、有田に土地勘がある方なら想像が付くと思いますが、小っこい町にライバルたる窯元をギュギュッと集めたようなところです。そんなに伝わるのに何年もかかるとか、そんな甘っちょろいとこじゃありません。江戸時代の田舎なのに、日々現金が飛び交ってたとこですからね。

 たとえば、和蘭商館長のワーヘナールの1659年の報告によると、モカ向けの磁器を注文したら、それを入手する1か月も前に、同じものが出島に大量に出回ったので驚いたって書いてたりもします。今でも、同じでどこかが売れ筋商品を開発すると、すぐに同じようなものがあちこちに出てきますしね。300年以上経とうが、やること変わらないってことですよ。ですから、ワーヘナールさんは驚いたかもしれませんが、有田に住んでると、そのくらいちっとも驚きません。 

 つまり、山辺田窯跡をはじめとする西部に位置する大皿生産窯に白磁素地の技術が伝わった上限は、限りなく1647年に近い時期かもってことです。じゃあ、それ以後どこまでを下限として絞れるのかってことですが、くだらないことを書いてたら、長くなってしまいましたので、それについては次回ということで。(村)

このページに関する
お問い合わせは
(ID:2198)
ページの先頭へ
有田町役場 文化財課

〒844-0001 佐賀県西松浦郡有田町泉山一丁目4番1号

電話番号:0955-43-2678

FAX番号:0955-43-4185

© 2024 Arita Town.