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有田の陶磁史(322)

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   前回は、後の内山をヨーロッパなどの海外輸出の拠点とすべく、内山基準未満の生産業者を外山に配置換えしたって話をしてました。

 さあ、これで内山の高効率生産の体制が整いました……、って言いたいところですが、マダマダ。何か抜けてると思いませんか?未満業者は外山に行かせましたが、このブログでずっと主役になってきたアレが抜けてるでしょ。超内山の方ですよ。内山の一般的な窯場は、あくまでも古九谷様式の技術を二次的に受容しただけですからね。でも、ミスターXさんとこはもともと外山に位置しますが、高原五郎七さんとことか酒井田喜三右衛門さんとことか技術の元を築いた「元祖●●」、「本家●●」みたいな窯場の技術も、また、内山基準には外れるわけですよ。バリバリ量産しないといけないのに、丁寧に、ゆっくり、手間ヒマかけて高級品を作られてたんじゃ、はっきり言ってジャマ。また、マネするやつが出てきたんじゃ元の木阿弥ってもんですよ。というわけで、こういう業者は、最も遠くに島流し(?)ってもんですよ。

 かくして、五郎七さん由来の岩谷川内山の技術は、何とはるばる大川内山までお引っ越しです。前回お話ししましたが、ここはこの時まで、磁器生産の窯場が築かれたことはなかった場所ですから、とりあえずそっくりそのまま有田から引っ越ししないと、窯業が成り立たない場所です。でも、残念ながら大川内山の超内山製品の生産量なんて、微々たるもんなんですよ。登り窯一つまるまる運営するなんてとてもとても…。ですから、前回お話しした内山未満と抱き合わせです。つーか、内山未満の窯の間借り程度ってくらいかな。

 ちなみに、たとえば平戸藩窯とか、何とか藩窯とかって言われてる窯場なんかがありますが、それって皆、この抱き合わせスタイルです。なぜ、こういうスタイルが成り立つかと言うと、磁器の場合、有田以外では、藩窯製品なんて言われているもの以外は、通常、下級品しか生産していないからです。何のこと…??でしょうか。

 つまり、上と下の抱き合わせで、まん中がスッポリ抜けてるんです。そうすることで、あまりにレベルが違い過ぎて技術が混じらないというカラクリ。ついでに大川内山の場合は超内山は皿中心なのに、内山未満の方は網目文とかの碗が中心なんで、器種まで被らないようにしてあるわけです。

 だから、よく大川内山って高級品を焼く窯場だって錯覚されてる方がいますが、ありゃ、あくまでも山としては下級品の山ですからね。

 ということで、本日はここまで。(村)

 

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