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有田の陶磁史(284)

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 前回は、ちびっと脱線して、“近場ほど技術の影響が大きいの法則”の話をしてしまいましたので、またまた喜三右衛門さんの南京赤絵系の話にたどり着きませんでした。本日は、具体的にどんな技術なのかってことに触れてみたいと思います。

 山辺田窯跡の万暦赤絵系のオリジナルな技術は、色絵専用の技術だって話をしたと思います。染付は圏線のみで、高台銘も色絵で配しますので、素地段階だと、本当に染付圏線だけです。

 一方、猿川窯跡の古染付・祥瑞系は、色絵に加え、染付製品アリの技術です。前に話したと思いますが、古染付タイプの色絵は、染付文様で完結している構図に、本当にそれいるのって思えるような色絵をテキトーに加えたもので、祥瑞タイプは染付文様と色絵を組み合わせて、はじめて構図として完成させるものです。ちなみに、祥瑞タイプは丸文や地文で埋めるのが特徴って言葉でも説明できますが、古染付タイプってのはなかなかこういうものって説明が難しゅうございますので、写真添付しときます。よく見て下さい。色絵なくても、染付製品として十分できあがってますから。ですから、古染付タイプは色絵を入れなきゃそのまんま染付製品になりますし、祥瑞タイプも色絵のところを染付にすれば、染付製品のできあがりです。ただし、両タイプともに、基本的に無文だと特徴が消えてしまいますので、オリジナルな技術では、白磁を素地とするものはありません。もちろん青磁も同様です。いや、正確に言えば、白磁でもいくつか特徴は現れるんですが、後から触れると思いますので、ここでは説明は省きます。ちなみに、高台銘も染付アリです。

 では、やっとたどり着きましたが、南京赤絵系はどうでしょうか。前にも、ちょっと、いやだいぶ話しましたが、これって何でもアリのタイプです。染付入りの色絵素地もありますし、白磁の素地もアリです。染付入りの素地については、高台内や腰部の圏線の話は以前しました。高台内一重圏線、腰部にも圏線が基本です。また、古染付・祥瑞系の場合は、皿の内面の文様は染付と色絵を組み合わせて構図を完成させると言いました。しかし、南京赤絵系では染付と色絵を組み合わせて文様を完成させるものはほぼありません。いや、外面に染付文様を入れるものは珍しくないんですよ。でも、内面はせいぜい染付は圏線止まりで、少なくとも祥瑞タイプのような複雑な組み合わせはありません。

 ただし、誤解されると困るのであらかじめ触れておきますが、色絵と染付を組み合わせるもの自体はあります。このタイプの中では、やや後発の技術にはなるんですが、染付製品として完成した構図の輪郭を赤や金・銀で縁取るやつです。あるいは、染付で塗った文様の中に、金銀彩で文様を描くとか。もちろんこういうものは、染付製品としても色絵製品としても伝世してたりします。

 ちなみに、高台銘はナイものも多いですが、染付で入れるのが基本ですね。もちろん、白磁を素地とする場合は色絵ですよ。

 ということで、本日はここまで。(村)

 

色絵山水人物文方形小皿

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