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有田の陶磁史(359)

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 前回は、高原五郎七(A)さんの“青磁”と、同(B)さんの“青磁”なるものはまったくの別物で、(A)さんのは正真正銘の青磁だけど、(B)さんのは実は古九谷様式の色絵磁器だったんじゃないでしょうかね~って話をしてました。続きです。

 ちょっとここで、今までの話の中で、どこまでが原典となる『源姓副田氏系圖』に記されているもので、どこが筆者の妄想なのかをはっきりさせとくため、小難しくて読むのめんどくさいでしょうが、ちょっとだけ原文を引用しときます。ちなみに旧字体は読みにくいので、今風に直しておきますね。

 五郎七(B)さんが、副田喜左衛門日清と善兵衛を弟子にしたのに、ケチでゼンゼン奥義を教えてくんないみたいな記述に続いてですが、

 

 「其後有田岩谷川内ヘ移リ青磁ヲ焼出シ世上ニ発向ス其頃御献上始リ珍器品々焼立被 仰付青磁ノ法人不知ニ依テ岩谷川内ヘ御道具山ト相唱立差上ル然ルニ切支丹宗門御穿鑿厳敷五郎七邪宗門ノ聞ヘ有之御捕アル由承リ付前夜逃去行方不相知青磁諸道具跡モナクハ谷ニ投捨置シヲ日清善兵衛ヲ引供シ青磁素焼物等拾集水干シテ相考青磁土兼テ打出ス所ノ道筋尋届色々工夫ヲ以漸サトリ再ヒ焼出シ御用相成通出来立候末日清ハ手明鑓ニ被召成御道具山役仰付ラレ善兵衛ハ細工人頭取ニ仰付ラル」

 

 ねっ、ひらがなバンバン入っている現代文に慣れてると、やっぱ読みにくいですよね…。ずっと前に古九谷様式のところでもお話ししたような気もしますが、ごっつ重要な内容なので軽く説明しときましょうか?

 え~っと!最初のあたりは、まとめると、これまでお話ししてきたように、五郎七(B)さんが、岩谷川内で“青磁”なるものを焼き出して献上し、御道具山を名乗ったって話ですから、お分かりだと思います。

 ところが、五郎七(B)さんはキリスト教徒だったみたいで、逮捕されまっせって話が耳に入ってきたんで、逮捕前夜に逃亡を図って行方不明になったみたいですね。でも、そこはドケチな五郎七(B)さんのことなんで、極秘にしてた“青磁”なるものに関する諸道具類は、技術がバレないように、すべて谷に投げ捨てたって言います。せっかくだから、喜左衛門さんや善兵衛さんに教えとけよ~って言いたくなりますが…。ほんとケチ!!

 まあ、五郎七(B)さんは、岩谷川内の猿川窯跡を使ってたはずですから、ふつう考えたら隣接する猿川って谷川にでも投げ込んだんでしょうけどね。その後の文章に拾って水干ししたってありますしね。有田に住んでると、ああ、猿川のあの辺りかって、だいたい想像できるんですけどね。

 だから、当然喜左衛門さんと善兵衛さんにも、捨てた場所は分かってたはずですよ。五郎七(B)さんが投げ捨てたと思われる小路から川面までは結構深い谷になってますが、別に水深自体深い川じゃないですから、川面を上流へと遡っていけば行けないとこじゃないですから。

 ということで、残りの文章はもう少しなんですが、その割に込み入った話をしないといけないので、途中ですが、今回はこのあたりまでにしときますね。(村)

 

 

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