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有田の陶磁史(287)

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 前回は、山辺田窯跡に南京赤絵系の影響が入ってきて、高台内一重圏線や白磁素地の製品が出現ってところで終わってました。もっとも、高台内一重圏線に関しては、その前からありましたので、南京赤絵系の影響だけってことではないと思いますが。古染付・祥瑞系の影響とか、段々だらけてきてラフになっただけみたいな複合的な要因かもしれませんね。とりあえず、本日は、南京赤絵系の具体的な影響内容について触れてみたいと思います。

 まず最初に、高台内に一重圏線を入れるものの話から進めますが、白磁と比べると、割合的にはそんなに多くはありません。さっき話したように、高台内一重圏線は必ずしも直接南京赤絵系の影響とも言えませんが、南京赤絵系と言えば最初から一重圏線ってのがルールなのも確かです。

 前回触れたような、山辺田窯跡の高台内二重圏線の大皿類などの場合、“百花手”、“幾何文手”、“祥瑞手”みたいに、ある程度数があるもんについては、“手”を付けるなどして類型化されています。しかし、山辺田窯跡の高台内一重圏線の製品については、“手”としてまとめられるほど大きなかたまりを持ちません。まあ、小さなかたまりくらいならあるんですけどね。外面の、口縁部よりも少し下がったところに圏線を巡らすタイプとか。でも、こうしたタイプも文様や構図を見ると、古染付・祥瑞系の影響が強そうですけどね。というか、たとえば幾何文手などは二重もあれば一重、ないものなどいろいろあるんですけどね。だから、一重だけの製品に限られるかたまりが小さいという意味ですよ。

 一方、白磁を素地とする色絵の方ですが、これが実にやっかいなんです。だって、単なる白磁ですから、どんな絵付けがされていたのか、伝世品と対比しようにもできないですからね。ですから、素地じゃなくて、実際に色絵を付けた陶片から探るしかないわけです。当然山辺田でも、窯跡じゃなくて工房跡である遺跡の方から、圧倒的多数の色絵陶片は出土するわけですけど、だいたい1,000点超くらい出土してますかね。でも、小さかったり、上絵が剥落してたりで、種類まで特定できるものはそんなに多くはないんです。そうは言っても、数えたことはないですが、感覚的には100点くらいはあるんじゃないですかね。

 この山辺田窯跡の白磁を素地とする色絵には、大別すると、五彩手と青手があります。このマニアックなブログを読みこなせるわけですから、あえて説明はいらないとは思いますが、青手とは原則的に器面全体を上絵の具で塗り潰しているもので、塗り潰してないものが五彩手です。

 それで、これもちょっとおもしろいんですけど、青手の場合は、種類が分かるような破片は、だいたい伝世品と対比できます。ところが、五彩手の方は伝世品と対比できるものもあるんですが、伝世品ではほとんど見ないタイプも多いんです。

 なぜなんでしょうね~?ってことで、次回はこのあたりの話をしてみたいと思います。(村)

 

高台内一重圏線の大皿:口縁部よりもやや下に圏線を入れるタイプ

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