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有田の陶磁史(289)

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 前回は、単なる私的な妄想ですが、青手ってもんは、素地が汚いから塗り埋めたんじゃなくて、例のアレが手本にした中国・景徳鎮の祥瑞大皿をヒントに、古染付・祥瑞系の技術に端を発してるんじゃないかって話をしてました。ということで、本日は青手について具体的にお話ししてみたいと思います。

 青手もいろんな種類がありますが、とりあえず枝葉のもんは置いといて、ある程度数量的まとまりのあるもんでメチャクチャ大ざっぱに大別すると、裏文様から2つの種類に分けられます。一つは外面を雲気文って呼ばれる雲状の渦渦で埋めるタイプです(Photo1)。仮にこれをここでは“A”タイプとしときましょうか。もう一つは、もう死語かもしれませんが、かつては古美術業界などでペルシャ手とか呼ばれていた、外面に唐草文をビッシリと描くタイプ(Photo2)です。こちらは“B”タイプとしときます。もちろんそれぞれ細かく分ければいろんな描き方があって、それによって素地としている白磁なんかの質も違いますが、ややこしくなるので、とりあえずここでは重箱の隅は話は置いときます。

 そんで、一般的には、世間ではBタイプよりもAタイプが古いって言われています。ざっくり言えば、五彩手も含めての話ですが、高台内二重圏線の製品なんかが前期白磁素地の五彩手や雲気文の青手であるAタイプが中期唐草文のBタイプが後期ってことになります。まあ、ここでははなからそんな通説にはこだわってませんから、話が進んでみないと、そういうことになるかどうかは知りませんけどね…。

 と、ここまではいいとして、ほかにも多少数があるタイプとして、東南アジアなどに輸出されている大皿などでは、よく外面にラフな丸というか、蕨状文というか端部が閉じない小さい丸っぽい文様を、外面にビッシリ描いているものがあります(Photo3)。これは一見別タイプのように見えますが、たぶんBタイプの簡略化というか変化した文様でしょうね。なので、ここでは先ほどのBタイプの本体の方を“B-1”、こちらを仮に“B-2”タイプとすることにします。

 こういうB-2タイプは、通常内面の文様は、黄、緑、紫の3色で塗られます。そして、中皿の伝世品もあるんですが、渦の描き方はより蕨文状に近く丁寧です。それで、それには高台内に二重角枠内に「承応貮歳」(1653)の銘が入るものがあることから、このタイプの製作年代がおおむね分かります。そうすると、先ほどの話に戻りますが、現在の一般的な説に照らし合わせれば、Aタイプはもっと古いってことでしょうかね?

 どう思います?これについては、もう少しおもしろい話が続くんですが、また次回ということで。(村)

 

外面Aタイプ

外面B—1タイプ

外面B—2タイプ

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