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異人館の家曳き見学会

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本日、昨日まで開催した企画展の展示から常設展示へと展示替えを行いましたが、今回も応援団の皆様に早朝からご協力いただき、午前中で終了しました。力仕事なのですが本当にお疲れさまでした。改めてお礼申し上げます。

 

先週の土曜日には復元修理事業を進めている有田異人館の家曳きの作業を町民の皆様に見ていただきました。これは、建物全体を現在の高さから約1メートル上げ、一旦、道路側から見て左に1メートル、さらにそのまま後ろに約2メートル曳いて復元するための作業です。

元々、異人館の前には庭があったことが古写真からわかっています。それが、昭和11年に一度前に曳いて座敷を設け、また同30年代には有田ダムが建設された折に、白川方面への道が拡幅され、屋根の軒が切られました。そのような改変の時代を経て現在の姿になっていますが、最も文化財的な価値が高い、明治9年の建設当時の姿に戻していくということが、専門家を入れた修理活用検討委員会で決まりましたので、今回の家曳きとなりました。

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最近では青森県の弘前城での曳き屋作業が有名ですが、あちらは住民の皆さんがロープで曳く作業を体験されていました。有田異人館の場合はジャッキで持ち上げ、鉄製のコロの上を少しずつ動かしていく作業で、しかも敷地が大変狭く、実際に住民の方に曳いていただくことはできませんでした。でも、異人館の復元修理の過程を公開することで、町民の皆様の文化財であることを体感していただき、これから秋の完成に向けての期待を持っていただけたのではないかと思っております。

ところで、この異人館ですが、建設に当っては貿易商であり窯元でもあった田代紋左衛門さんは建てようとした息子・助作さんに対し「異人館之様ニ作事相始候由風分(聞)も承候事、実ニ而候哉、当時不景気之半作事など而ハ先見合可有之候、諸々借銀仕作事仕而ハ平林か石蔵も同様と人々見入、甚以悪敷風分可有之候也」という一文を残しています。有田弁に訳すと「異人館ば建つって聞いたばってんが、ほんなごとや?こがん不景気の時に作事のごたんとは見合わせんばいかん。諸々借金までして作事すっとは平林の石蔵とおんなじって人はみーけん、ものすごう悪か噂になるぞ」という感じでしょうか。ちなみに平林の石蔵というのは現在の有田陶磁美術館で、異人館の2年前、明治7年に建設されたものです。いずれにしても、100年以上も前に建てられた異人館も石蔵も、建設当時は人々の噂としてはあまり芳しくないものだったかもしれませんが、今となっては町並みの中に溶け込んでいます。

異人館の修理復元工事では日ごろご迷惑をおかけしている周辺の住民の方や、駐車場を提供いただいた深川製磁の皆様に改めて感謝申し上げます。  (尾)H28.1.12

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