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有田の陶磁史(224)

最終更新日:

 ゴールデンウィークを挟んだこともあり、ちょっと更新の間が空いてしまいましたが、皆さまいかがお過ごしだったでしょうか。

 有田のゴールデンウィークと言えば、何と言っても陶器市ですが、コロナ禍で、一昨年と昨年と2年連続で中止になってしまいました。今年はようやく開催されたんですが、この期間は町なかはごった返すは、道路は渋滞するはで、とてもじゃないけど、まっとうな生活は望みようがありません。

 それに、今年は一週間で122万人の来客があったそうで、コロナ以前と変わらなかったですね。まだ用心して巣ごもりされていた方も多かったでしょうから、大健闘というところでしょうか。でも、一週間で122万人なんて、大したことないじゃんって、大都会にお住みの方なんかは思われるかもしれませんね。でも、普段は2万人弱しか住んでないところ、いや、陶器市に関係する地区だけならその半分にも満たないところだってことをお忘れなく。当然、それに合わせて、町の造りも全部コンパクトですから。まあ、言うなれば、詰め放題いくらって時には、さすがにいくら何でもこの量は入らないでしょってくらい詰め込むでしょ。町じゅうパンパン。そんな感じです。だから、有田の人は、やきもの関係以外は昼閒は巣ごもりで、夜行性の人が急増です。

 でも、2回の陶器市中止で思い知りましたが、本来陶器市の開催期間に町なかがシーンとしてるのは、なんだかかえって落ち着きませんね。なんと言っても、有田にとっては、一年の計は元旦じゃなくて陶器市にありで、盆と正月が一緒に来たような行事ですから。まあ、開催を最終決定する陶器市委員会の委員の一人でもありますし、今年はできてめでたしめでたしです。

 

 ということで、おもいっきり前振りが長くなってしまいましたが、本題に戻ります。前回は、窯跡の発掘資料は様式には当てはめにくいというか、当てはめようがないものが存在するってことをツラツラと述べてましたが、全然進まない話でした。でも、間が空いたので、もう忘れましたよね。まあ、軽くおさらいはしますが、今日はちびっとは進めたいものです。続きです。

“初期伊万里様式”と“古九谷様式”は外部からの技術導入を伴う様式であるため…、まあ、必ずしも外部の技術でなくてもいいし、自主開発した技術・技法もあるわけですが、とりあえず、それまでにないまったく新しい技術・技法が付け加えられた様式であるため、“一つでも新要素が加われば、原則、新様式に区分しないといけないの法則”が成り立つってことでした。

 たとえば、“初期伊万里様式”の素地に、色絵を施したようなものとかです。もっとも、色絵技法だとひと目で見て分かるので、何となくなるほどって気になるのですが(初級コース)、染付製品なんかでは実に分かりにくいものもありまして…。

 たとえば、“初期伊万里様式”の器形をしている皿で、施文のルールは“古九谷様式”だったりとか…。これなんかは、法則に則れば、“古九谷様式”に入れるべし、ということになるわけですが、“言うは易く行うは難し”、その施文のルールが“古九谷様式”のものであることを見破る最高難度の技を身に付けてないとどうにもならないので、結構高ハードルです。実際に、骨董雑誌とか見てると、古美術商の広告の中で“初期伊万里”として掲載されてる中に、“初期伊万里”にそんな技法ないでしょってもんも時々見かけます。普段から見慣れてるProですらそうですから、これを見破るのは、ラクチンではないかもしれませんね。ただこの場合、モノによっては“初期伊万里様式”にはない施文ルールが使われてるからって、さすがに“古九谷様式”に入れるのもためらわれますけどね。だから、窯跡発掘調査資料は様式に当てはめるのが難しかったり、当てはめようがないってことになるわけです。

 では、一方、“柿右衛門様式”“古伊万里様式”の方はどうなんでしょうか?簡単に分類できると思います?ここでもったいぶるくらいですから、まさか~ですね。

 これらが、“初期伊万里様式”や“古九谷様式”と決定的に違うのは、何かビシッと新技術・技法が加わって成立した様式ではなく、ジワジワと有田内部の既存技術・技法が改良されて完成した様式であるというところがキモです。

 これの何が問題なのか答え、分かりました?まだ…?では、ヒントです。どこからどこまでが頭で、どこからが尻尾か?何を想像しました?まあ、何でもいいですが…。そうです。たとえば、“古九谷様式”から“柿右衛門様式”への変遷の例でご説明いたします。仮に両様式の典型的なものを両端に置くとします。自前での改良様式ですから、金太郎飴じゃないですが、その間に中間的なものが、途切れなく無限大に存在するのです。はたと、困るでしょ。そうすると、どこまでが“古九谷様式”で、どこからが“柿右衛門様式”なのかどうやって決めるのかってことですから。

 って書いてたら、前振りが長かったので予定分量を大幅に超えてしまいました。やっぱ、ほんのちょびっとしか進みませんでしたね。ということで、この“金太郎飴の謎”については、次回じっくりと。(村)

 

“初期伊万里様式”の素地に“古九谷様式”の施文ルールを施した皿。(高台内外の圏線は、“初期伊万里様式”にはない要素)

 

 

 

 

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