第3回は、「応法・猪子谷(ちょこだに)単室石炭窯」です。
所在地は有田町応法丙3723、3723-1にあります。平成10年10月12日に町史跡の指定文化財になっています。
明治~大正初期ごろに地元有志の出資によって築かれた窯で、レンガ積みの倒焔式単室陶磁器焼成窯と呼ばれます。当初は共同窯でしたが、後に個人窯となり、戦後に廃窯となりました。
窯本体と高さ12mほどの煙突で構成され、窯本体の焼成室には東西各3か所の焚口と、北側に2か所の出入口が設けられています。焼成室の床は横幅約3.5m、奥行約4.6mの長方形で、床に吸炎孔があけられています。当初は薪を燃料として使用していましたが、主に石炭を燃料に使用していました。
ちなみに倒焰式とは、出口となる直接的な煙突がないため炎が窯の天井に当たって下に戻っていきます。戻ってきた炎は床下の煙道を通って煙突から出ていきます。


現在でもきれいに残っており、黒牟田・応法から有田ダムへ向かう道路に面した右手に窯と煙突が見えます。窯の中へは入ることができませんが、柵越しに中をのぞくことができ、窯の周りを見ることもできます。ただし、若干道から高いところにあるので、足元には注意をしてご見学ください。(伊)H28.6.2