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山辺田遺跡の出土品(1)

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山辺田遺跡は、有田町の黒牟田地区に位置し、国指定史跡山辺田窯跡に関わった人々が居住していた集落跡です。そのため、製土から上絵付けまでの製陶が行われた工房跡としての性格も併せ持っています。これまでの調査等で、いわゆる「古九谷」と称される最初期の色絵磁器も多く出土しており、すでに残骸に近い状態ではありましたが、それを焼成した赤絵窯等も発見されています。

この遺跡の概要については、当資料館の館報である「季刊皿山」のNo.106(2015 夏)やNo.109(2016 春)に掲載しておりますので、そちらをご参照いただければと思います。資料館のHPでも、トップページ右側の「季刊皿山」のバナーから進んでいただければ、ダウンロードすることができます。

さて、本日ご紹介するのは、昨年度の調査で出土した色絵大皿の破片です。古九谷様式の製品の中でも、内外面をすべて上絵具で塗り潰したもので、一般的に「青手」と称される種類です。

古九谷様式の製品は、1640年代の中頃にはじまり、主体的に生産されていたのはわずか10年程度で、様式間の明確な線引きは困難ですが、おおむね1650年代後半の中で消滅したものと推測されます。青手も1650年以前にすでに成立していましたが、生産量が多かったのは、1650年代前半頃と考えられます。

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写真の製品は、内面に蔓草を描き、黄色で塗り潰した背景は、小さな円形の文様を散りばめて、さらにその隙間を点描で埋めています。葉の部分の色はほとんど剥がれていますが、よく見るとわずかに緑絵具が残っており、茎は青で塗られています。

裏面は全体的に緑絵具で塗り潰されており、側面には雲気文と称される渦状の文様が配されています。この雲気文を描くものは、青手の中では最も一般的なタイプの一つで、通常は、高台の中まで上絵具で塗り潰され、この製品と同様に、高台内に二重方形枠内に「福」銘を配したものが多く見られます。(村)H28.7.1

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