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山辺田遺跡の出土品(3)

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前回まで山辺田遺跡で出土した色絵磁器のうち、外面胴部を雲気文で埋める青手皿を二つご紹介しました。この雲気文タイプの青手については、実は、山辺田窯跡の発掘調査でも2個体出土しており、山辺田遺跡の発見以前から、“山辺田の色絵”という認識が持たれていました。ただ、青手のように染付を伴わない白磁を素地とするものは、上絵付けした製品でも出土しない限り、素地からはなかなか完成品の姿を推測することは困難です。そうした意味でも、上絵付け工程も含む工房跡である山辺田遺跡の発見によって、“山辺田の色絵”の実態がずいぶん分かるようになりました。

さて、今回ご紹介するのは、同じ青手ですが外面胴部を渦状の文様で埋めるタイプで、本来は唐草文の一種と推測されます。写真の皿は大皿で、山辺田遺跡発見の発端となった平成4年度の土木工事の際に出土したものです。この時は、わずか1平方メートルほどの範囲で出土遺物の採集をしたに過ぎませんが、色絵素地330点に加え、色絵片35点も出土しました。もちろん、ほかに染付製品などもあるので、密集度はかなりのものです。

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このタイプの青手は、伝世品などでは雲気文のタイプに比べるとかなり数は少ないようですが、山辺田遺跡では比較的多く見られます。外面胴部は緑の上絵具で塗り潰され渦文が描かれていますが、高台の中は白く残すのが特徴です。内面の文様はほとんど剥落していますが、よく見ると、緑で塗った葉と紫色の花が大きく描かれており、その間を黄色で塗って小さな梅花文で埋めています。伝世品では青絵具を使用するものもありますが、基本的には緑・黄・紫の3色を使うものが多いようです。

東南アジアなどでも複数発見されているので、海外輸出されたことが判明するタイプの青手です。
(村)H28.7.15

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