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山辺田遺跡の出土品(19)

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今回は、久々に山辺田遺跡の色絵関連の製品をご紹介いたします。写真は、山辺田の窯場でも色絵技術の成立期頃に作られた、最初期の色絵素地大皿です。

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色絵素地大皿

山辺田の窯場の最初期の色絵大皿の素地には、他の窯場には見られないさまざまな特徴があり、たとえばその一部を知っておくだけでも、山辺田の伝世品を比較的簡単に見分けられたりもします。

分かりやすい特徴をいくつか記すと、通常、無文の白磁を素地とするものはなく、すべて圏線などの染付を伴います。また、同時期の一般的な染付製品などと比べ、高台の径がかなり大きく、多くは高台自体もがっちりとし、畳付の削りも丁寧で、基部から先端側に細くなる断面三角形状を呈します。

では、ここからが重要なポイントです。高台内には二重の染付圏線が施されますが、山辺田のオリジナルな素地の特徴として、これとは別に高台の内直下に一重の圏線を廻らします。この圏線配置は、少なくとも大皿では山辺田以外にはありませんので、同様な圏線配置の伝世品は山辺田の製品と考えて間違いありません。ただし、山辺田の窯場でも、少し時期が下ると、高台内直下の圏線が二重になったりなかったりするものも現れ、その内側の二重圏線も一重やないものとなるなど、圏線配置に乱れが生じます。

この高台内の圏線配置だけでも、かなりの種類の伝世品が山辺田製だということが分かりますが、写真の素地もそうですが、高台内に残るハリ跡が製品と同じ磁器質ではなく、有色の陶器質ならばさらに完璧です。これは山辺田製品の中でも早い時期にしかなく、他の窯場の例は皆無だからです。ちなみにハリとは、小さな粘土を円錐形に加工したもので、焼成時に底部が垂れ下がるのを防ぐため、高台の中に数か所配置したものです。焼成後ハリを外した際には、その先端の痕跡が小さな点状に高台内に残ります。当然、一般的に底径の小さい初期伊万里様式などには必要なく、古九谷様式の成立時に中国・景徳鎮磁器などのように高台径を大きくするために考案された技法で、通常、手本となった中国磁器などには使われていません。

ちなみに、今回ご紹介した色絵素地は、同じ種類の素地を用いた伝世品が知られており、五彩手の中でも百花手などと通称されるものです。内面全体をびっしりと上絵具の文様で埋め尽くすのが特徴で、全体の構図としては芙蓉手などとよく似ています。(村)H28.11.25

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