第18回は、「有田異人館」です。
所在地は有田町幸平一丁目2-6にあります。1977(昭和52)年3月11日に佐賀県の重要文化財に指定されています。
有田異人館は、平成26年度から復元保存修理事業に取り組み、今年の10月に竣工しました。建物の完成に伴い10月29日から11月6日まで保存修理記念のお披露目会も行いました。
17世紀から18世紀にかけての海外への輸出以来、有田焼の2度目の輸出が始まるなか、幕末の貿易商人であった田代紋左衛門の子、田代助作が有田の陶磁器を買い付けに訪れていた外国人の客を宿泊、接待をするために明治9年(1876)に建てたもので、外国人向けに西洋風で造られた佐賀県で最も古い洋風建築です。有田内山地区では白壁土蔵造りの家並みが多いなかでの有田異人館という洋館は、当時を考えると大変不思議なものであったと思います。
 |  |
外観(修復前) | 外観(修復後) |
内装も痕跡調査を行った結果をもとに、復元・修復を行っています。基本的に部材などはきれいに磨き、色を塗りなおしているだけなので、建築当初の床や柱、らせん階段の材をそのまま再度使用しています。壁紙や天井紙も痕跡調査から和紙が使用されていることが確認できたので、今回も壁紙・天井まで全て手漉き和紙を使用しています。窓ガラスやステンドグラスも割れていないものはそのまま使っています。
 |  |
らせん階段(1階) | 部屋の内装(2階) |
現在は、一般の方への公開をしていませんが、来年の4月に正式な開館を迎えますので、是非ご来館ください。(伊)H28.12.8