先日、佐賀市で開催された「佐賀県博物館協議会」に出席してきました。
この協議会は佐賀県内に設置されている博物館、美術館、資料館、類似する施設に勤める方が集まって相互に連絡を取り合い、博物館等の振興、教育、文化の進展を目的としています。
今年の研修先は、佐賀市川副町にある「農業歴史資料館」と「佐野常民記念館」でした。
農業歴史資料館は、佐賀県農業試験研究センター内にあります。昭和43年に整備されて以来、今日に至ります。資料館には当時農業試験場の職員だった方が、佐賀県下の農協・役場の職員らと共に、農家の方々の協力を得て収集した農具など600点を展示しています。さらに、ここに展示している農具類は1977(昭和52)年3月28日に県の文化財に指定されています。
佐野常民記念館は、現在の佐賀市川副町早津江出身の佐野常民という人物の生涯を紹介しています。彼の功績の一つとして、1877(明治10)年の西南戦争時に、敵味方分け隔てなく負傷者を救護する「博愛社」を設立したことがあげられます。その10年後に「日本赤十字社」と改称し、初代社長に就任しました。それ以前には、佐賀藩が整備した三重津海軍所の責任者となり、1865(慶応元)年に国産初の蒸気船「凌風丸」を完成させています。ちなみに、「三重津海軍所跡」は、平成27年7月に「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」の構成資産の一つとして世界文化遺産に登録されました。
今回の研修で初めて農業歴史資料館へ行きましたが、佐賀へ来てからその存在を今まで知りませんでした。実際行ってみての感想は、見たこともないような、何の目的でどのように使用されていたのかわからない物が多く、滅多に見ることができないいい資料を見ることができたと思いました。特に、犂(すき)は明治時代のものから昭和の機械犂まで並べて展示してあり、犂の変遷がよくわかりました。またクリークがある佐賀市ならではの泥土上げ作業用の道具もありました。佐野常民記念館は、三重津海軍所が世界遺産になる以前に訪れたことがありましたが、世界遺産になったこと、最古のドライドックが出土したことなど以前より大分変化しており、なによりVR(バーチャルリアリティー)で当時の三重津海軍所を体感できるということがすごいと思いました。
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農業歴史資料館 (外観) | 佐野常民記念館から望む三重津海軍所跡 |
(伊)H29.3.16