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お話

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あっという間に桜が散ってしまいました。この潔さが日本人には好まれるのでしょうか。最近、糯米を使って炊飯器で簡単に桜餅を作れるようになった(尾)は、この季節になるとせっせと作っては知り合いにお届けしています。勿論、桜の葉っぱは塩付けにしたものを購入していますが、ナント新しい同僚(森)が同好の士と判明!これからは一緒に葉っぱを取りに行こうと話しています。先日、蒲原コレクションを撮影掲載された業者より、その掲載誌を届けていただき読んでおりましたら「春夏秋冬 和菓子のおはなし」というコーナーでこの桜餅の発祥について紹介されていました。それによると長命寺の門番・新六が向島の桜の葉が散るのを惜しみ塩付けにして販売したけれど全く売れず、餅をくるんで売ったら大当たりしたのが享保2年(1717)であるとのこと。今も昔もちょっとしたアイデア次第でモノが売れるということと、そうか、今年は桜餅が考案されて300年の記念すべき年なんだと思ったところです。

閑話休題。今日を挟んで、昨日のれきみん学習会で紹介したのは有田の歴史を著した3人の先達のこと。で、明日は先月西有田ライオンズクラブより、4月の例会で何でもいいので有田のことを話すよう依頼があっていたので同じ趣旨の内容にしてみました。というか、時間が不足していた中でハタと思いついたのがそれぞれの参加者が全く異なるのであれば、同じテーマでお話してもいいのではないかと安易な方向に走った(尾)です。

テーマは「三星鑑・曲川村郷土誌・肥前陶磁史考~今に残る3つの郷土史が伝えること」。この3冊の郷土史は大正期から昭和初期にかけてのほぼ同時期に執筆編纂されていますし、その著者もほぼ同じ時期にこの有田に生きた方々でもありました。そこで、3人の著者のプロフィール、なぜこの本を著そうとされたかその動機、刊行された体裁などを調べていく内に、この三人には異なる点や共通する事柄などが垣間見えてきたので、そのあたりを少し。

まず、三星鑑を著したのは山田神社宮司でもあった椎谷孟保さん。椎谷さんは大山村役場勤務のころに「民歴史を忘るるときに国遂に滅ぶの警句あり」という思いで、取材し資料を収集して大正14年(1925)に完成しています。この「三星(みつぼし)」というのは唐船城を築城した松浦一族の家紋「三星」から名付けたとのこと。総頁数696ページという大作ですが、印刷発行は諸事情があってなされず、現在原本は椎谷家の子孫が所蔵され、最近複製本が作られて椎谷家と当館で所蔵しています。

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椎谷孟保さん

次に曲川村郷土誌を著したのは当時、曲川小学校第8代校長であった舘林為市さんです。これまた「教育を郷土化する為に是非郷土誌を編纂」するという思いで、子どもたちの教育のために取り組まれました。家族の方の話では休みの日も晴れていれば弁当持参で資料収集に出かけ、雨の日は早朝から深夜までガリ版を切っていたと伝わっています。昭和13年(1938)発行。総頁数は286ページで200部を印刷製本し、校内各教室に備え付け、村内の諸団体に寄贈されたそうです。原本は曲川小学校に今も大切に保管されています。

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舘林為市さん

最後は「肥前陶磁史考」です。「韓人李氏が発見せしより茲に320年、其間幾多の陶工と指導者との惨憺たる事蹟と変転せる歴史とを回顧する時、うたた今昔の感ならん。(中略)偶二三の陶史を閲るに及び、即以て骨子として此稿を起」した著者は有田白川生まれの中島浩氣さんで、昭和11年(1936)発行。総頁数858ページ、定価5円で500部発行。こちらは当時の有田町会が200円の助成を決議し、肥前史談会が支援するという、他の2冊からすれば恵まれた環境での発行でした。

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中島浩氣さん

 

この三人の筆者に共通するのは、当時移動手段もままならない中、複写機もなくカメラを持つことも稀な時代に、自分の足で膨大な資料収集のために各地に出向き、古文書や石碑に刻まれた文字を書き写されているという点です。それはある意味、家庭を顧みずという面もあり、家族にとっては大変な苦労を強いられた取り組みでもあったと思います。でも、中島浩氣さんの長女・雪竹多枝子さんは生前、次のように述懐されています。「両親は一文の財産も残してくれませんでしたが、父は『肥前陶磁史考』を、母はキリスト教(信仰)を残してくれました」

いずれにしても、これら先達が並々ならぬ苦労の末に書き残してくださったものに、現在に生きるわたくしどもがどれほどその恩恵を蒙っているかと思うと、ただただ感謝の思いのみが募ります。(尾)H29.4.18

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