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山辺田遺跡の出土品(30)

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以前、このシリーズの(25)で、伝世する古九谷様式の色絵にはほとんど例のない製品群について少し紹介しました。本日は、その第二弾です。

種類としては大皿が多いのですが、小・中皿や鉢、瓶などほかの器種もあります。ただ、大皿類も口径が30cmを超えるような大型のものはほとんどありません。もっとも、ほとんど伝世品が知られておらず、山辺田遺跡の一連の発掘調査で類例が蓄積されてきたことにより、はじめて存在が判明した一群ですので、詳細が掴めるようになるのはこれからでしょうが。

特徴としては、素地には染付を伴わない白磁を用いること、赤の上絵具を使用したものが多いことなどが分かりやすい例です。一概には言えませんが、全体的に素地の質もあまり良くないものが多いようです。逆に、こうした質の悪いタイプなので、相対的に上級品が残りやすい伝世品には少ないのかもしれません。

図1は縁を折らない丸皿で、図2は折縁皿、写真1は接合しませんが、図2の口縁の一部です。図1、2ともに、遺存部では外面胴部に赤の線が残りますが文様までは分かりません。また、写真1も赤の線が見えますが、これは松葉文かもしれません。内面の文様はほとんど剥落していますが、見込みの周囲に赤色で二重圏線を配し、見込みと口縁部の文様を分割しています。見込みの文様は同じではありませんが、共に黒の輪郭線以外では、赤、緑、黄、紫の4色でちょっとラフな感じの草花文が描かれており、筆致などはよく似ています。図1の口縁部には黄色で塗られた宝珠文が残っており、図2は草花の部分と写真2のような斜線の部分があることが分かります。この組み合わせから察すると、窓絵の中に草花文を描いて、窓と窓の間に斜線を配すパターンかと思われます。また、図1の高台内には赤の一重方形枠が残っており、おそらく枠内には銘が配されていたものと推測されますが残っていません。

山辺田の伝世するタイプの色絵は、上絵具に緑、黄、紫の3色を使うのが基本です。よって、配色の違いは、赤絵具の使用の有無くらいです。ただ、伝世するタイプの裏文様は数種の花唐草文など、基本的にパターン化されていますが、赤絵具を使うタイプに同じ裏文様は認められません。したがって、明確に違う種類の製品として製作されていることは間違いありません。(村)H29.4.21

図1図2
図1 色絵草花文大皿図2 色絵草花文大皿
写真1

写真1 色絵大皿(口縁部)

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