第8回は、「中樽(なかだる)窯跡」です。
所在地は有田町中樽一丁目です。史跡には指定されていません。
近接地には、一昨年まで発掘調査を行った中樽一丁目・泉山一丁目遺跡や山小屋遺跡が所在します。また、紹介済みの山小屋窯跡や舞々谷窯跡といった同じ中樽山の窯でもあります。
中樽窯跡遠景
発掘調査は行われていませんが、記述や古地図に中樽窯について記載があり、文化11年の記録では25室、安政6年の絵図には20室、明治9年、20年の記録には中樽窯と記載があります。その他にも『肥前陶磁史考』には、長期にわたって焼成された古窯として中樽窯が紹介されており、稼動していたことがわかっています。これらから、推定年代として文化11年以前から19世紀~20世紀を含む期間まで稼働していたことがわかっています。
中樽窯跡付近は、私有地の元工場用地内にあります。現地を訪れるのであれば、了承を得てから現地を訪れてください。中樽窯跡を示す標柱は斜面に立っていますので近づくことは難しいと思います。また、草の生い茂る季節は、標柱も隠れているかもしれません。(伊)H29.7.20