現代の日本では、「土器」、「陶器」、「炻器」、「磁器」の4分割されているやきものの種類。はたして、海外はどうなのでしょうか。まずは、日本にも多大なる影響を及ぼした、東洋のやきものの代表格、中国の分類について記してみたいと思います。
中国の場合、基本となるやきものの分類は、「陶」と「瓷」の2つしかありません。かつての日本の、「土器」と「陶器」の2分割みたいなもんです。「陶」と「瓷」の間をスパッと2つに割れるわけではありませんが、ごくごくアバウトに言うなら、柔らかいのが「陶」、硬いのが「瓷」ってとこでしょうか。
もちろん、日本の「土器」は「陶」です。中国製品で、「紅陶」やら「黒陶」などと記されていると、思わず「陶器」かと勘違いしそうですが、要するに日本では「土器」の仲間です。ここまでは楽勝です。次に、たとえば楽焼のような軟質施釉陶器ですが、日本では当然「陶器」の仲間です。でも、中国風分類では、柔らかいので、これも「陶」です。やっと「陶器」と「陶」で重なりましたが、特に深い因縁はありません。続いて、同じ「陶器」でも、肥前が誇る唐津焼。日本では「陶器」ですが、硬いので中国では「瓷」になります。
あえて、“柔らかい”、“硬い”みたいな、論文では絶対通用しないような、ごくごくアバウトな基準で分けてみましたので、何となく感覚的にはお分かりいただけたかと思います。もちろん、実際にはもう少し複雑です。少し線引きが違うのは、日本の分類の場合には、この“柔らかい”、“硬い”に、少し捻りが加わるからです。
このシリーズの(2)で、広辞苑的分類基準をご紹介しました。その中では、「土器」は「釉薬を用いない素焼の器物」という解説になっています。また、「陶器」は「(前略)素地が十分焼き締らず吸水性があり、不透明で、その上に光沢のある釉薬を用いたもの。」とあります。いかがでしょうか。日本の場合、「土器」には無釉の原則があり、一方、「陶器」には“硬い”という決まりはありません。したがって、施釉されている軟質のやきものは「陶器」になるのです。
中国の「瓷」には、もちろん「磁器」も含まれます。ということは、「陶」と「瓷」という分類は、多少線引きする場所は異なりますが、かつての日本の「土器」と「陶器」の2分割分類に比較的近いことが分かります。(村)H29.8.4
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