去る4月15日、当館の資料である川崎千虎筆「祈之図人物画」を佐賀大学美術館に貸し出しました。
作者である川崎千虎は、東京美術学校(現在の東京芸術大学)の教授も務めた人で、有田徒弟学校の初代校長です。明治28年の開校から明治30年の約2年間校長を勤めました。今回展示される資料は、川崎が校長時代に描いたものです。
川崎が校長を務めた有田徒弟学校は、現在の有田工業高校であり、陶磁器の技術者養成学校でした。明治28年に開かれた第四回内国勧業博覧会に有田磁器が出品された際、「以前旧株を守り、少しも進歩したりと言うべからず」という酷評を受け、実業教育の充実が急務でした。川崎がどうして東京から有田に赴任したのかは明らかではありませんが、酷評を挽回するべく「日本画の有名な先生を呼びたい!」という思いがあったのかもしれません。
佐賀大学で開催される「佐賀の近代日本画」は、佐賀の日本画の始まりである幕末・明治期から、近代、現代までの日本画の様相を辿る企画展です。当館の資料である川崎千虎筆「祈之図人物画」は、ポスターにも大きく掲載していただきました。皆様もぜひ佐賀大学美術館に足を運んでいただいて、川崎の作品をご鑑賞いただければと思います。
なお、有田徒弟学校と川崎千虎については、季刊皿山秋No.43に詳しく書かれていますので、よろしければそちらもご覧ください。(宮)H31.4.23
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大きく掲載していただきました |