第44回は、「香茸(こうたけ)窯跡」です。
所在地は有田町広瀬山です。史跡には指定されていません。
 |
香茸窯跡付近 |
香茸窯跡は、1999年度に西有田町(現有田町)教育委員会が調査主体となり、発掘調査が行われています。その後、2001年に『茂右衛門窯跡・香茸窯跡』が刊行されています。
発掘調査では、2基の窯体が確認されています。窯本体は昭和40年代ころの宅地造成により窯跡のほとんどが破壊されたと推定されますが、宅地造成を免れた栗畑や畑地にかろうじて残存を確認できました。
出土した遺物は、磁器の染付の碗・皿・仏飯器・瓶、白磁は皿が出土しています。窯道具はトチンとハマが出土しています。
広瀬山の窯場として、一時は広瀬向窯と併存していました。高台の小さい初期伊万里様式風の製品が生産されていますが、1650年代~1680年代までの間の操業と推測されます。
香茸窯跡は、私有地の中にあるので現地を見ることはできませんが、前回紹介した茂右衛門窯跡や次回以降紹介する広瀬地区の窯跡が付近には点在し、他の窯との関係が見て取れると思います。なお、有田町教育委員会が刊行している報告書については、現在在庫がありませんのでご了承ください。
(伊)R1.9.5